アストン マーティン & フォード 「Xパック」な2台(1) V8ヴァンテージの大トルク カプリ 3.0Sの大胆ボディ

公開 : 2026.01.18 17:45

438psを発揮したアストンの「580X」ユニット 塞がれたグリルにダックテール 幅広い内容で強化されたカプリ 3.0S 意欲的にカーブを巡れるシャシー 2台の「Xパック」をUK編集部がご紹介

響きへ圧倒されるV8「580X」ユニット

英国に住む古くからのアストン マーティン・マニアは、432という数字を特別視する。1986年から3年ほど製造されたV型8気筒エンジン、「580X」ユニットの最高出力が432bhp(438ps)だったから。実際は、400psを少し超える程度だったようだが。

数10psの違いは、さほど重要ではない。肝心なのは最大トルクだろう。600psを誇るV12エンジンでも、トルクが細ければ勢いを感じにくい。公道の環境では、1t当たり200psほどのFRなら、50.0kg-m前後のトルクが威力を発揮する。

レッドのアストン マーティン V8ヴァンテージ Xパックと、ダーク・ブルーのフォード・カプリ 3.0S Xパック
レッドのアストン マーティン V8ヴァンテージ Xパックと、ダーク・ブルーのフォード・カプリ 3.0S Xパック    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

4枚のキャブレター・フラップを開けば、ノーズを軽く持ち上げながら突進を始める、アストン マーティン V8ヴァンテージ Xパック。3500rpmを過ぎるとパワーが増大し、とめどない加速へ身を置ける。0-97km/h加速5.2秒以上の鋭さだ。

フロントに載るDOHCのV8エンジンは、技術者のタデック・マレック氏が設計し、グレートブリテン島中部、ニューポート・パグネルの工場で手組みされている。この名機は、2000年まで提供が続いた。ボンネットを持ち上げると、その響きへ圧倒される。

塞がれたグリルにダックテールスポイラー

1986年にV8ヴァンテージは燃料インジェクション化されるが、Xパックに組まれたのは4基のウェーバー・キャブレター。専用シリンダーヘッドとハイカム、軽量ピストンも採用され、400ps以上の最高出力が引き出された。

リリース後にも改良が重ねられ、吸排気の見直しなどで最終的には438psを獲得。1989年には排気量が6.3Lへ拡大され、456psまで引き上げられている。

アストン マーティン V8ヴァンテージ Xパック(1986~1989年/英国仕様)
アストン マーティン V8ヴァンテージ Xパック(1986~1989年/英国仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

Xパックでは、塞がれたフロントグリルにダックテールスポイラー、ワイドフェンダーで見た目も差別化。ホイールは16インチのロナール社製で、タイヤは幅が255ある。

ドラマチックでエレガントな容姿をまとった、シリーズ2と呼ばれるV8ヴァンテージは304台がラインオフしたが、英国で8万9000ポンドしたXパック仕様は131台が売れている。ちなみに、その頃のチャールズ皇太子は、標準仕様の1台を注文したとか。

幅広い内容で強化されたフォードのXパック

他方、英国には別の「Xパック」が先に存在した。1970年代末のフォードは、パフォーマンス拡大プログラムを特定のラリースポーツ(RS)・ディーラーで提供。主に対象となったのがカプリとエスコートで、そこから誕生したのがカプリ 3.0S Xパックだ。

その内容は、パワーアップにブレーキの強化、ホイールとフェンダーの拡幅、専用インテリアまで幅広いものだった。フル装備でオプションを指定した人は限られたが、今回ご登場願ったジョン・ファウル氏の愛車は、ほぼそれに該当する。

フォード・カプリ 3.0S Xパック(Mk3/1977~1980年/英国仕様)
フォード・カプリ 3.0S Xパック(Mk3/1977~1980年/英国仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

エンジンは3.1L V6で、大径バルブが組まれた3基のウェバーキャブレターが載る。ダンパーはビルシュタイン社製で、ブレーキは前にベンチレーテッドディスクが奢られ、ステアリングホイールはRS仕様。唯一、シビエ社製スポットライトだけ選ばれていない。

ホイールは7.5Jの13インチで、タイヤは幅205のピレリが標準だった。かくして、カプリ 3.0S Xパックの0-97km/h加速は7.4秒。最高速度は209km/hに届いた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ポール・ハーディマン

    Paul Hardiman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェイソン・フォン

    Jayson Fong

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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