英国製FRスポーツの象徴 V8ヴァンテージ&カプリ 3.0S 「Xパック」な2台(2) バーバリーとプライマークの違い

公開 : 2026.01.18 17:50

438psを発揮したアストンの「580X」ユニット 塞がれたグリルにダックテール 幅広い内容で強化されたカプリ 3.0S 意欲的にカーブを巡れるシャシー 2台の「Xパック」をUK編集部がご紹介

高ぶる気持ちを抑えるボディロール

アストン マーティン V8ヴァンテージのボディは大きいが、Xパックでも驚くほど運転しやすい。ミシュラン・タイヤが路面を掴み、ドディオン式サスペンションが生むトラクションは素晴らしい。座面は高めで視界が広く、前後左右にフェンダーの峰が見える。

カーブへ飛び込むと、想像以上にボディロールが大きい。高ぶる気持ちを抑えるのに、効果的といえる。1速が斜め上に位置するドッグレッグ・パターン5速MTは、シフトレバーのストロークが長く、重厚なマシンを運転している感覚を強める。

アストン マーティン V8ヴァンテージ Xパック(1986~1989年/英国仕様)
アストン マーティン V8ヴァンテージ Xパック(1986~1989年/英国仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

ステアリングホイールは、ナルディ社製のウッドリム。5速MTやリアデフのノイズが、薄っすら耳へ届く。エンジン音も小さい。防音材だけでなく、肉厚なレザーやウッドの内装がボリュームを抑えている。天井の内張りも、上等なハンドメイドだ。

580Xユニットはストロークが長く、低域の唸りが心地良い。引っ張るほど獰猛さが表出し、積極性へたじろぐ。ブレーキペダルへ力を込めれば、2t近い巨体の勢いは殺せる。

エセックス・ユニット特有の重低音

カプリ 3.0S Xパックは、V8ヴァンテージと比較すれば親しみやすい。ステアリングホイールはレザー巻きで、ウッドリムより握りやすい。レカロシートは座面が低く、大きく膨らんだボディのサイズ感は掴みにくいけれど。

キャビンはタイト。ブラウンのシート中央を飾るオレンジのチェック柄が、1980年代風。オーナーのジョン・ファウル氏は、この配色が唯一の設定だったと説明する。

フォード・カプリ 3.0S Xパック(Mk3/1977~1980年/英国仕様)
フォード・カプリ 3.0S Xパック(Mk3/1977~1980年/英国仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

フェンダーパネルは後付けのFRP製だが、感心するほど波打ちがない。通常のラリースポーツ・ディーラーでは、ベースのフェンダーを大胆に切断していた。だがファウルの例では、オプションワン社の腕利き技術者によって丁寧に接着・塗装されている。

V8ヴァンテージ Xパックと同様に、冷間時でも始動性は良好。マフラーはジャンスピード社製で、エセックス・ユニット特有の重低音が周囲を満たす。ただし、このクルマにはチューナーのリックウッド社が組み上げた、3.4Lユニットが載っているが。

V8ヴァンテージ以上に鋭い回頭性

オリジナルの177ps以上出ているらしく、回転は極めて滑らか。110km/hの巡航を、3000rpmほどでこなせる。レブリミットは5500rpm。他方、トランスミッションはアップグレードされず4速マニュアルのまま。クロスレシオで、正確にギアを選べる。

パワーステアリングは標準装備で、回頭性はV8ヴァンテージ以上に鋭い。ボディロールも少なく、意欲的にカーブを巡れる。より少ない腕力で、軽快に駆け抜けられる。

フォード・カプリ 3.0S Xパック(Mk3/1977~1980年/英国仕様)
フォード・カプリ 3.0S Xパック(Mk3/1977~1980年/英国仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

最高出力はV8ヴァンテージ Xパックより200psほど劣っても、車重は500kg以上軽い。パワーの差から想像するほど、パフォーマンスの差は小さい。乗り心地は滑らかといえないが、コーナリングスピードは劣らない。

ブレーキペダルは踏み心地が頼もしく、前のベンチレーテッドディスクが必要なだけ速度を落としてくれる。軽い踏力でも僅かに生じるジャダーは、カプリ特有の癖。AP社製のアイテムで、強化しても良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ポール・ハーディマン

    Paul Hardiman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェイソン・フォン

    Jayson Fong

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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