クルマは走ってナンボ 雨の峠を攻めるアストンにベントレー ツール・オブ・ウェールズ(1)

公開 : 2026.01.11 17:45

参加者で優勝を決める英国のコンクール・デレガンス 雨の山道を攻めるクラシックカー ボディや内装が汚れてもお構いなし クルマは走るためにある UK編集部が由緒あるイベントへ潜入

参加者で優勝を決めるコンクール・デレガンス

極上のクラシックカーを審査するコンクール・デレガンスは、少し不思議な世界かもしれない。参加者は、往々にしてオークションレストアに多額を費やし、部品探しや歴史の裏付けへ時間を割く。オイルまみれになるオーナーも少なくない。

かたや審査する方は、スーツとハットで着飾り、優雅に状態を確認する程度。実際に走らせることは殆どない。だが、英国の権威ある「コンクール・オブ・エレガンス」は違う。参加者自ら優勝車「ベストインショー」を決めるのだ。

2025年に開かれたコンクール・オブ・エレガンスの様子
2025年に開かれたコンクール・オブ・エレガンスの様子

雨の山道を攻めるクラシックカー

さらに、ペブルビーチ・コンクール・デレガンス以上に公道を走らせ、本来の性能を解き放つことも推奨されている。そのロードトリップ「ツール・オブ・ウェールズ」は、グレートブリテン島西部のウェールズ州を中心とし、4日間に及ぶ。

風光明媚なワインディング、ブラック・マウンテン峠の走破やヒルクライムレース、モーガンの工場見学など、内容は盛り沢山。磨き込んだクラシックカーで、雨の山道を攻めるのは躊躇しそうだが、クルマは走るためにあると楽しむオーナーは多い。

フリッツ・バーカード氏のドライエ135M
フリッツ・バーカード氏のドライエ135M

審査は走り終えた後、ロンドン西部に位置するハンプトン・コート宮殿で開かれる。筋金入りのカーマニアたちは、ボディやインテリアが汚れてもお構いなし。今回は、2025年のノミネート車両と、その粋なオーナーをご紹介しよう。

アストン マーティン LM8(1932年式)

オーナー:マーク・フィッシャー氏

彼のアストン マーティン LM8は、1932年のル・マン24時間レースで7位入賞。その前年にも完走しており、今は設定のないビエンナーレ・カップを受賞している。「これはLM9やLM10と並ぶ、3台のワークスマシンの1台です」。フィッシャーが説明する。

マーク・フィッシャー氏のアストン マーティン LM8(1932年式)
マーク・フィッシャー氏のアストン マーティン LM8(1932年式)

LM8を購入後、ビエンナーレ・カップの優勝トロフィーを彼は探した。「当時の写真が載っていた本の著者へ尋ねましたが、わかりませんでした」。しかし、英国のとあるディーラーが所在を把握しており、入手できたそうだ。

フィッシャーは、2025年のル・マン・クラシックへ出場している。「最高の経験でした。180km/hで土砂降りの中を走った時は、怖かったですよ。ライトも明るくないですから。でも楽しかったです。もちろん、公道を走るのも最高です」

ベントレー・コーニッシュ(1977年式)

オーナー:ブラッド・ベイカー氏

「定年して、クラシックカーレースに出ようと思ったんです」。と話すベイカー。「最初はレンタカーを使っていたんですが、故障をきっかけにクルマを買おうと決めました。税金が掛からない古い年式が良いと知人から聞き、ベントレーを選んだんですよ」

ブラッド・ベイカー氏のベントレー・コーニッシュ(1977年式)
ブラッド・ベイカー氏のベントレー・コーニッシュ(1977年式)

「これまで8000km位走りましたが、燃費を気にしなければ、信頼性が高くて快適です。これはファクトリー・レーサーで、オリジナル状態にあります」

マセラティ250Fも所有する彼が、コーニッシュの素晴らしさを認める。「自分はコレクターではなく、ユーザー。運転は上手ではないですが、こんなクルマが走る様子へ見惚れてしまう人は多いでしょう。子どもの頃の夢を、叶えているようなものです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ライアン・スタンデン

    Ryan Standen

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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