ダイハツ・ムーヴ・カスタムRS”ハイパーSA”

公開 : 2015.01.19 23:50  更新 : 2022.12.12 21:30

■どんな感じ?

まず、カスタムRS”ハイパーSA”というFFで最も高価なモデルに乗った。166.86万円である。外観は前述した通りで、顔だけ見ていると軽自動車とはとても思えない。『進撃の巨人』ごっこがしたくなる。内装もサイバー空間である。メーターは軽初の “TFTカラー・マルチ・インフォメーション・ディスプレイ” を採用。TFTとは薄膜トランジスタのことで、50種類以上の画面が出てくる。17.82万円の8インチ・ナビゲーションはBMW i3もかくやで、現代が21世紀であることを再確認させてくれる。SAとは、”スマートアシスト” こと “スマアシ” で、TVのCMでは “トリセツ” のアンドロイドの小松奈菜が後方誤発進抑制制御機能をアピールしている。後方検知にソナーを使い、10㎞/h以下で走行時、後方約3m先までに壁などの障害物を検知すると、約8秒間エンジン出力を抑制する。老人大国、日本は前後自動ブレーキを必要とする時代になった。あいにく今回は試す時間がなかった。

ドライビング・ポジションは見直されただけあって、登録車同然の自然な姿勢がとれる。頭上空間は全高が1630㎜もある恩恵で広々している。さすがワゴンRのライバルである。走り出すと、乗り心地は意外に硬めだ。ウレタン製のバンプ・ストッパーがつねに接触している状態にあるそうで、なるほど終始一貫フラットであろうとしている。ステアリングは記憶のなかのホンダN ONEよりライブ感がある。3気筒ターボ・エンジンは活発で64psと9.4kg-mを発生し、新たにステアリングに設けられた “パワーモード・スイッチ” を必要としない。このスイッチを押すとCVTのプログラムが変わってエンジンの回転数を上げ、スロットルをより高開度に制御する。ということだけれど、アクセル全開だとおそらく上げしろがない。

ハンドリングは、見かけほどファン・トゥ・ドライブではない。背が高い割に全幅が狭すぎるから安定志向に設定せざるをえないだろうし、そもそもムーヴは軽の本流であるところのファミリー・カーである。これでいいのだ、なのでしょう。

このあと乗ったNAのムーヴX “SA” も、ハンドリングに関しては同じ印象で、曇りのない目で判断すれば、真っ当と評価すべきであろう。NAの場合、タイヤは一回り小さいけれど、乗り心地はターボと同様に硬めで、しっかり感があり好感が持てる。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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