【ターゲットは新人類】CMは山下達郎&永井博!新型ダイハツ・ムーブを3つのテーマで深掘り

公開 : 2025.06.09 11:45

6月5日、ダイハツは新型ムーヴの発表会ののち、メディアに向けて取材会を開催しました。チーフエンジニアをはじめ、開発者たちの声を聴くことができた篠原政明が、3つのテーマでムーブを深掘りします。

疑問1:なぜ、新型ムーヴはスライドドアを採用したのか?

6月5日、ダイハツは新型ムーヴの発表会ののち、メディアに向けて取材会を開催した。開発責任者の戸倉宏征(とくら・ひろゆき)製品企画部チーフエンジニアをはじめ、開発者たちの声を聴くことができたので、その中から興味深い話を紹介しておこう。

ムーヴにスライドドアを採用するキッカケになったのは、2016年に発表した初代ムーヴキャンバスの成功にあったという。軽自動車のスライドドアといえば、車高が1800mm近くあるスーパーハイト系の専売特許? だったが、もう少し低いハイト系として初めてスライドドアを採用したムーヴキャンバスはヒット。現行型の2代目もキープコンセプトのスタイルにスライドドアも踏襲し、人気を持続している。

6月5日に行われた新型ダイハツ・ムーブ発表会。右のイラストが永井博が今回描いたもの。
6月5日に行われた新型ダイハツ・ムーブ発表会。右のイラストが永井博が今回描いたもの。    山本佳吾

1993年にスズキが初代ワゴンRを発表し、これが人気を集めたことからダイハツも対抗モデルとして1995年に初代ムーヴを発表。その後、多くのメーカーも同様のボディタイプの軽自動車を発表したことから、いわゆる『ハイト系』ワゴンが軽自動車の主流となる。

しかし、2003年にダイハツが初代タントを発表し、ハイトワゴンよりも背が高くスライドドアを採用した『スーパーハイト系』が登場する。広い室内空間やスライドドアの利便性などで人気を集め、多くのメーカーが追従し、いまやホンダ N-BOXが『日本で一番売れているクルマ』の座を維持し続けている。

スライドドアを採用してもスタイリッシュなデザインは可能

そしてムーヴキャンバスを追うかのように、スズキもワゴンRスマイルというスライドドアを採用したハイト系を2021年に登場させる。いまや、軽乗用車の約半分がスーパーハイト系、そしてスライドドア比率は約6割に達しているという。

開口部が大きく、お年寄りや子どもを乗り降りさせるのにラク、狭い場所でも乗り降りしやすい、強風時などでもスイングドアのようにあおられない、といった利便性や安全性の面も考慮して、新型ムーヴもスライドドアの採用に踏み切った。

新型ダイハツ・ムーブはハイト系ワゴンながら、スライドドアを採用した。
新型ダイハツ・ムーブはハイト系ワゴンながら、スライドドアを採用した。    山本佳吾

スライドドアを採用しても、ムーヴらしいスタイリッシュなデザインは可能であり、現在のムーヴ・ユーザーはもちろん、他のハイト系ユーザーに向けてスライドドアのムーヴを導入することで、ハイト系の市場を再び活性化させようというのが狙いだ。

そしてもちろん、若い女性を中心に人気を集めているムーヴキャンバスとはデザイン面から棲み分けされ、男性やシニア層にも好まれやすいスタイリッシュなものとして、両車が併存できるようにしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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