アウディA6アバント・クワトロ3.0 TFSI 第1回

2015.01.22

実は、昨年の10月より、甲府の実家の旅館の面倒も見ることになり、1週間に一度は中央道を甲府まで往復する事になってしまった。甲府までは、私の自宅のある川崎市麻生区からは中央道も含めて約100km、2時間弱の距離で、従って、足で使うクルマの走行距離も飛躍的に伸びているのが現状である。しかし、この状況は、逆に新車のテストで走ると言う意味ではとても手頃な走行距離で、既に何台かの試乗車で走ってみて、クルマの良し悪しを評価するには良い距離とルートだと感じている。甲府盆地の天気は関東地方の気象状況とほぼ連動していて、例年それほど雪が降るわけではなく、精々降っても南岸低気圧が通過する際に20cm程度というのがこれまでの常識であったが、昨年、何と、気象台始まって以来の1mの積雪を記録し、当然、除雪車などあろうはずもないので、除雪に大変な苦労をしたようだ。その経験も踏まえ、今年の冬の足グルマは4駆にスタッドレス装着が必須だと考えていた。

このような使用条件にピッタリなのはやはりAudi quattroである。早速、Audi Japanに問い合わせをすると、冬の間、スタッドレス装着の試乗車3台を乗り継ぐロングレポートを行うことが決まってしまった。その3車種とは、Aidi A6 Avant quattro 3.0 TFSI、Audi A3 Sedan 1.8 TFSI quattro、Audi SQ5の3台である

1月9日より、2週間の予定でまず借り出したのは、A6 Avant である。エンジンは3ℓのV6にターボチャージャーを備え、310psの最大出力を発生する。トルクは2900rpmから4500rpmにかけて44.9kgmの強大な数値を記録している。ボディサイズは4940mm×1875mm×1495mmで、かなり大きいはずだが、意外にコンパクトに感じられる。装着されているタイヤは冬仕様のスタッドレスで、ミシュランの225/50-R18サイズのX-ICEであった。4輪駆動のquattroにこのタイヤの組み合わせは最強で、甲府に向かう中央道の峠でたとえチェーン規制となっても何の問題もないのである。

1月10日

実際に走り出してみると、ドライの路面でスタッドレスにも係わらずロードノイズは最小限に抑えられ、静粛性の高い室内となっている。ステアリングはややローギアードだが操舵力は軽く、不自然さは一切感じられない。路面とのコンタクトもしっかりと感じ取れ、切れば切っただけ曲がるダイレクトな印象だ。都内の頻繁なストップ・アンド・ゴーでもシフトはスムーズで、1速にミートする時も含めてぎこちなさは全くと言ってよいほどない。高速の100km/hの巡航では、7速のトランスミッションでは1600rpmが回っているに過ぎず、実に安楽なクルージングである。この日は、川崎の自宅から甲府までの約100kmの走行であったが、燃費は高速で9.1km/ℓを記録している。

1月12日

撮影とワインディングのテストを兼ね、甲府市郊外の名勝、昇仙峡とその更に上流にある金桜神社まで、グリーンラインと呼ばれるワインディングを走破してみた。天気は晴天で、完全ドライ。時折、日陰にアイスバーンが顔を出す、といったシチュエーションの峠道であった。タイトで回りこんだコーナーが比較的多かったが、アクセルだけで姿勢制御が容易にでき、トルク・ベクタリングの効果を充分に感じることが出来た。ただ、A6ではサスがいささかソフトで、例えばうねりの直後のコーナーの切り込みではロールが残りぎみで、やや不安な進入になってしまうことがあった。S6ならば、と思う場面ではある。310psのパワーは数字よりも強大で、レブ・カウンタをフルに使い切ればダイナミックなドライビングが楽しめる。この際も、ブレーキは一切の不安は無いから、安心してコーナーに進入できる。この日は結局70kmほどのワインディングを走破し、A6の走り味を堪能することができた。

1月13日

この日も快晴。いざquattroを用意していつ雪が降ってもいい、と思っていると意外と降らないもので、ずっとドライの中央高速を川崎に帰ってきた。フルに仕事を終えた後で疲れていたが、直進性もよく、余計なストレスを全く感じないA6のドライブはこういう時、とても助かる。夕方には、ドライバーを佐野君にバトンタッチし、再度、中央道を下り、ランボルギーニの雪上試乗会が開催される長野県の女神湖までの往復の試乗をして貰うことになっている。ここで始めて、雪道の真価が発揮されるということだ。

text & photo:笹本健次 / AUTOCAR DIGITAL編集長

 

人気記事