異彩を放つベーシックな構成 スズキS-クロス 1.4マイルドHVへ英国試乗 リピーターに納得

公開 : 2025.01.23 19:05

想像以上に活発なマイルドHV 乗り心地は良好

英国の公道へ出てみると、128psのマイルド・ハイブリッドは想像以上に活発。0-100km/h加速は、カタログ値を上回る9.6秒でこなしてみせた。1305kgと軽い車重と、電気アシストが相乗している。

試乗車は6速MTで、ギア比がショートな4速までが、トルク感を強調している印象。高域でのノイズは粗めだが、普段使いでの音質は洗練されている。

スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

シフトレバーの動きはストロークが短く正確。クラッチペダルの感触は曖昧でも、ペダル配置はヒール&トウしやすく、期待以上に変速が楽しい。ブレーキの効きも頼もしい。

ATがご希望なら、トルクの低いフル・ハイブリッドを選ぶことになる。これは実際はクラッチレスのマニュアルで、変速はギクシャク気味。滑らかに加速するには、マニュアル・モードで自らギアを選び、変速時にアクセルペダルを僅かに戻す必要がある。

サスペンションはソフト。多くのライバルと異なり、乗り心地は良い。17インチと最近では小さめのアルミホイールも、入力の吸収性を高めている。低速域では強めの揺れが伝わるものの、高速域ではしなやかさが増す。

ロードホールディング性は高いとはいえず、ステアリングホイールは軽く淡泊。速度を高めると僅かに重さが増すものの、魅力が高まるわけではない。

ボディロールは大きめながら、路面の凹凸へ影響は受けにくい。減衰特性は良好で、不意な上下動は充分に抑えられている。

重宝する四輪駆動 日常的に18.0km/L近い燃費

S-クロスの特長といえるのが、四輪駆動を指定できること。降雪地帯に住む人や、農地などへ踏み入る機会が多い人は、重宝するに違いない。

そもそもトラクションが不足するほどパワーがあるわけではなく、平時は前輪駆動だが、四輪駆動への切り替わりは滑らか。センターコンソール上に、スポーツ・モードや4WD固定を選べるボタンがある。

スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

やや気になったのが、ロードノイズ。高速道路では、特にうるさく感じた。風切り音も大きめといえる。110km/h時に2300rpmと、エンジンが低域で回り比較的静かなことも、影響しているだろう。

車線維持支援システムは、白線が薄い区間では動作がおぼつかなくなるが、介入は自然。アダプティブ・クルーズコントロールの高速道路での制御は、全般に良好だった。

燃費は、6速MTの前輪駆動で18.8km/L、四輪駆動で16.9km/Lがうたわれる。今回の試乗では、複合的な条件を走らせて17.4km/Lを得られた。気張らず普段使いしている限り、18.0km/L近い効率は得られるようだ。

S-クロスの英国価格は、エントリーグレードのモーションで約2万7000ポンド(約527万円)から。ウルトラ・グレードを指定すると、四輪駆動と9.0インチ・タッチモニター、サンルーフなどが付くが、約5000ポンド(約98万円)お高くなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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