名車シトロエン2CVが復活へ 開発プロジェクト始動、発表は2028年頃か レトロな小型EVに?

公開 : 2025.01.23 18:25

シトロエンの名車「2CV」の基本設計が始まっていることを、同社関係者が認めた。新車価格が高騰する中、手頃な小型EVとして2028年に登場すると予想される。ライバルのルノーはすでに同様のモデルを発売している。

初代のようなレトロなデザイン採用か

AUTOCARが独自に入手した情報によると、シトロエンは「2CV」の生産終了から30年以上が経過した今、その復活を検討している。

戦後のフランスを活気づけたと評価されている名車2CVの後継モデルの基本設計が進行中であることを、シトロエンの上級関係者が認めた。ただし、このプロジェクトは現時点では初期段階にある。

シトロエン2CV
シトロエン2CV

同社はこれまで2CVの復活計画を否定してきたが、方針転換したことになる。

これは、新型のルノー5 Eテックがきっかけとなったものと見られている。そのレトロなデザインと、2万2995ポンド(約440万円)という低価格も影響したはずだ。

ルノー5 Eテックはフランスでたちまちヒットし、先月は9973台が販売された。これはシトロエンが販売した新型e-C3の台数を1721台も上回る。

2024年11月、つまり発売から最初の1か月間で、5 EテックはルノーのフランスにおけるEV市場シェアを16.3%(1月から10月)から23.2%に押し上げるという重要な役割を果たした。

5 Eテックのデザインは、オリジナルの5の生産が継続されていた場合の進化を想定したものだが、2CVは、そのクラシックなデザインをより忠実に再現すると考えられている。

シトロエンは、2024年のパリ・モーターショーで発表した超小型EVアミの改良型において、レトロなテイストをより強く打ち出した。大きな目玉のようなヘッドライト、フェンダーの通気口のようなくぼみ、歴史的なブランドロゴなど、初代2CVからいくつかのデザイン要素を取り入れていた。

今年のブリュッセル・モーターショーでAUTOCARの取材に応じたシトロエンのデザイン責任者、ピエール・ルクレール氏は、新型2CVについて公に認めることは避けたが、レトロなデザインに「門戸を閉ざしているわけではない」と語った。

「シトロエンに期待されているのは、特にこれまで良いとされてきたクルマの形状を再び作るということではない。しかし、扉を閉ざすつもりはない。わたしはそうした哲学が重要であると考えている」(ルクレール氏)

ルクレール氏のコメントが暗示しているように、根底にあるスピリットの重要性から、シンプルさと手頃な価格が新型2CVの開発における重要な検討事項となることは間違いない。オリジナルの2CVは、戦後のフランスの農村部で幅広い人が使えるように必要最低限のクルマとして開発された。

このコンセプトは、現代社会にも通じるものがある。EVへの移行や、エネルギー価格や原材料費の高騰といった問題により新車価格が急騰し、EVは多くの労働者階級や中流階級の消費者の手の届かないものとなっているからだ。

記事に関わった人々

  • チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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