異彩を放つベーシックな構成 スズキS-クロス 1.4マイルドHVへ英国試乗 リピーターに納得

公開 : 2025.01.23 19:05

欧州市場で異彩を放つ、日本では終売のS-クロス 凛々しい顔立ち 安っぽさが否めない内装 想像以上に活発なマイルドHV 乗り心地は良好 飾らない実用モデルの要件を満たすと英編集部は評価

異彩を放つベーシックな構成:S-クロス

新しいモデルになるほど、複雑化も進む昨今。そんな中で、スズキS-クロスは良い意味でも良くない意味でも、欧州市場では異彩を放っている。バッテリーEV仕様の選択肢はなく、MTを選べ、タッチモニターは巨大ではない。見た目も従来的だ。

プジョー3008ルノー・キャプチャーなどを筆頭に、このクラスのモデルは未来的なフォルムへデジタル技術を満載。予めマニュアルを読み込まなければ、機能を活かすことは難しい。

スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

とはいえ、S-クロスも世代交代が控えている。数年以内に、eVXの量産版へバトンタッチする見込みだが。

英国仕様の場合、アダプティブ・クルーズコントロールに7.0インチ・タッチモニター、シートヒーターなどの装備が標準。電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)を組んだ、1.4L 4気筒ターボのマイルド・ハイブリッドがベースユニットになる。

最高出力は128psで、最大トルクは23.8kg-m。電気アシストは、低域でのトルクを加算するスタイルで、0-100km/h加速を10.2秒でこなす。トランスミッションは6速マニュアルで、四輪駆動も指定可能。今回の試乗車もこれだ。

フル・ハイブリッドも追加予算で選べる。これは1.5L 4気筒ターボに、電圧140Vのシステムを組み合わせたもの。117psと13.9kg-mを発揮し、6速ATが標準になり、0-100km/h加速は12.7秒へ延びる。

凛々しい顔立ち 安っぽさが否めない内装

現行型は3代目に当たり、登場は2021年。存在感のあるフロントグリルとヘッドライトを獲得し、従来より顔立ちは凛々しい。リアには、最近流行りの水平に長いライトバーが光る。リアのサイドウインドウの形状も新しく、ボディシェルも更新されている。

インテリアはタッチモニターが追加され、ダッシュボードの素材が僅かに変わったこと以外、2013年に登場した先代と基本的に同じ。安っぽい感じは否めないものの、使い勝手が悪いということはない。ライバルと比べて、見劣りすることは事実だが。

スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキS-クロス 1.4 ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

人間工学的には悪くない。フロントシートは長時間でも座り心地が良く、調整域も広く、快適な運転姿勢を探せる。

後席側は、大人が快適に過ごせる広さはあるが、エアコンの送風口やUSBポートはなし。試乗車にはサンルーフが装備され、頭上空間が若干犠牲になっていた。背もたれは、僅かに角度を変えられる。

荷室はクラス平均の広さといえる。荷物を固定するフックなどは備わらない。

インフォテインメント・システムは新開発だが、画質はイマイチで動作も遅め。しかしメニュー構造は理解しやすく、ナビの設定などは簡単だ。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、有線で対応。ワイヤレス充電パッドはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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