ブラボー! 最新 ルノー5 E-テックへ試乗 電動で蘇った「サンク」 クーパー Eの真のライバル

公開 : 2024.10.07 19:05

500eやクーパー Eと同じ役割を果たすべく、電動で蘇ったサンク オリジナルを巧みにモダナイズ 華やかなインテリア 普段使いで驚くほど快適な走り 実際の航続は320km 英編集部が評価

温故知新 500eやクーパー Eと同じ立ち位置

ルノーのCEO、ルカ・デ・メオ氏が温故知新を意図した「ルノーリューション」を掲げてから4年。その軸になっていたのが、半世紀前に発売された小さなハッチバック、「5:サンク」の復活だった。

フランスへ手頃な移動手段を提供したオリジナルの役割を、バッテリーEVの時代に再現しようというアイデアだ。フィアットにおける500eや、ミニにおけるクーパー Eと同じ立ち位置が想定されてもいる。

ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)
ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)

先行してお披露目されていた、5のコンセプトカーはカッコよかった。そして、開発が急ピッチで進んだにも関わらず、量産仕様もカッコいい。見た目に相応しい中身を宿しているのか、試乗で確かめる時がやって来た。

スタイリングは、オリジナルの特徴を巧みにモダナイズしたもの。全長は3920mmで、全幅は1770mm。現行のルノー・クリオ(ルーテシア)より幅が狭く、全高は1500mmあり高い。それでも、地面に低く構えたような雰囲気が好ましい。

凛々しくシャープな容姿は、5ターボと重なるよう。選べるボディカラーは、鮮やかな5色が用意された。

プラットフォームは、AmpR(アンペア)スモールという名の、バッテリーEV専用アーキテクチャ。フロントサスペンションはストラット式で、ルノー・キャプチャー譲り。リアは、グループ内のダチア・ダスター由来のマルチリンク式を採用する。

華やかで現代的なインテリア 後席は狭め

インテリアは、華やかで現代的。初代5を想起させるスタイリングと、しっかりコーディネートされている。運転姿勢は快適で、シートの掛け心地もバッチリ。座面が低く、包まれ感がある。

後席側は、足元の空間がやや狭い。平均的な身長のドライバーの場合、後ろの空間は制限されてしまう。5ドアだから、乗降性は良いけれど。

ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)
ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)

荷室容量は277Lと、このクラスでは広い方。クーパー Eは210Lだ。ただし床面の位置が高く、重い荷物を載せるのは少し大変かもしれない。

試乗車のダッシュボードは、ブルーのデニムで仕立てられていたが、イエローも用意されている。10.0インチのタッチモニターとメーター用モニターが据えられていても、車内の主役はそれではないのが好ましい。

インフォテインメント・システムは、グーグルの技術を利用したもの。入力への反応は素早く、現在のシステムでは完成度が高い部類に入るだろう。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、無線で対応する。

車載機能の多くはタッチモニターを介して操作するが、ヒーターや運転支援システムなどには、実際に押せるハードスイッチが用意されている。このバランスも良好だ。

ステアリングホイールやパワーウインドウのスイッチは、クリオからの流用。内装の下の方は硬い樹脂のままだが、普段目につく領域は素敵だし、コストと耐久性を考えれば納得できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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