コルベットが量産初FRPボディ 改良版2CVがビジュー? 無名から伝説まで FRPボディの珍車・名車(1)

公開 : 2025.06.29 17:45

高い自由度で少量生産メーカーの心強い新素材になったFRP 軽量スポーツカーの普及に貢献 名門ブランドも着目 コルベットにRS 200、M1まで FRPボディの珍車・名車をUK編集部が振り返る

成形の自由度で多くのメーカーが注目

世界初のガラス繊維強化プラスティック、FRP製ボディをまとったスポーツカーは? 1949年に、アメリカ・カリフォルニア州のビル・トリット氏が作った「G2」だ。

その3年前には、スタウト・モーターカー社による世界初のミニバン、スカラブがFRPで作られたものの、試作車の1台のみ。G2の登場以降、少量生産メーカーの心強い新素材になっただけでなく、大手メーカーも高い自由度へ着目することになった。

BMW M1(1978〜1981年)
BMW M1(1978〜1981年)

アメリカのカイザーとシボレーは、1952年にFRP製ボディの試作車を発表し、ダーリンとコルベットという名で市販化。欧州メーカーもその可能性へ気づき、キットカーやライトウエイト・スポーツカーの普及へ貢献した。

ご存知の通り、リライアント・ロビンやロータス・エリート、ルノー・エスパスに至るまで、多様なモデルが誕生してきた。BMWも、生産手段の1つとして採用している。今回は、FRP製ボディの珍車や名車、10台を振り返ってみたい。

シボレー・コルベット C1(1953〜1962年)

FRP製ボディのスポーツカーといえば、シボレー・コルベットが代表的な1台だろう。初代のC1は、世界初となるFRP製ボディの大量生産モデルといえた。1953年のコンセプトカー、コルベット EX-122の大反響を受け、6か月後には量産を開始している。

デザイナーはハーレー・アール氏。軽量で錆びず、コストの掛かるボディ用金型が不要なことを理由に、FRPが採用されたという。その後、1968年のコルベット C3では、より高価なFRPのプレス成形技術も導入されている。

シボレー・コルベット C1(1953〜1962年)
シボレー・コルベット C1(1953〜1962年)

これは、シート成形コンパウンド(SMC)技術へ発展。2004年のC5世代でも、FRPボディの生産に用いられた。C6世代でも基本的な製造方法は同様だが、フロントフェンダーなどはカーボンファイバー製だ。

★マニアな小ネタ:アメリカのカイザー社はコルベットより数か月早く、ダーリン KF-161というカブリオレを1952年9月に発表した。個性的なスタイリングで、生産が始まったのは1953年の後半。正式な量産車としては、コルベットに先を越された。

サーブ97ソネット II/III(1966〜1974年)

スウェーデンのサーブが新しいFRP技術と航空機用合金を採用し、2ストロークエンジンで最高速へ挑んだのが、6台のみ作られたロードスターの94ソネット。その10年後に、FRP製ボディの量産車、97ソネット IIが提供されている。

97ソネット IIがターゲットとしたのは、アメリカ市場。強化される排気ガス規制へ対応するべく、841ccの2ストローク・エンジンは258台が作られた時点で、フォード由来のV型4気筒、4ストロークへ切り替えられた。

サーブ97ソネット II/III(1966〜1974年)
サーブ97ソネット II/III(1966〜1974年)

1970年には、セルジオ・コッジョラ氏がスタイリングを担当した、ソネット IIIへアップデート。販売はIIほど好調ではなく、1974年までに1万219台が作られている。

★マニアな小ネタ:ソネットは、スウェーデン語でとても素敵、という意味がある。だが自国では、1968年式と1972年式の2度だけ、限定的に販売された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ゲイリー・アクソン

    Gary Axon

    英国編集部ライター
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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