GSに通じる見た目も魅力 シトロエンC4へ試乗 出だし活発なマイルドHV 中身は堅実

公開 : 2025.02.08 19:05

2km前後は電気だけで走行 出だしは活発

それでは、肝心の走りへ進もう。バッテリーEV版としてE-C4も存在するが、エンジンを載せた英国仕様の選択肢は3択。129psの1.2Lガソリンターボと8速ATのほか、100psか136psの1.2Lマイルド・ハイブリッドと、6速ATの組み合わせから選べる。

今回試乗したのは、136psのマイルド・ハイブリッド。駆動用バッテリーは0.43kWhと小さいものの、2km前後は電気だけで走行可能。スポーツ、ノーマル、エコという3種類のドライブモードのすべてで回生ブレーキは強く効き、充電量は高く保たれる。

シトロエンC4 ハイブリッド136 マックス(欧州仕様)
シトロエンC4 ハイブリッド136 マックス(欧州仕様)

すぐに慣れてしまうものの、出だしは活発。シトロエンによると、普段使いでは最大50%の時間を、電気だけで賄えるという。市街地中心に郊外へ足を伸ばした今回は、約20%程度といえた。

アクセルペダルを強めに踏み込むと、エンジンが始動。バッテリーが小さいから、比較的頻繁に働き始める。加速力は穏やかで、追い越し時には、本領を発揮するまで少しの待ち時間が必要になる。それでも、遅いと感じるほどではないだろう。

6速ATは、燃費や洗練性を意識してか、ギア比がロング。変速は少し遅れ気味で、極めてスムーズとまでは呼べないが、ギアの選択に迷うことはない。

エコ・モードを選ぶと、燃費を求めてシフトダウンが制限される。そのかわり、長時間巡航するような場面に好適。スポーツ・モードでは意欲的に変速されるが、ドライバー自らギアを選ぶことはできない。

市街地では身軽 揺れが残りがちな乗り心地

ステアリングのロックトゥロックは2.8回転。レシオはスロー気味で、最小回転直径は10.9mがうたわれ、小回りが特に利くわけではない。だがステアリングホイールは軽く回せ、1335kgと軽い車重もあって、市街地では身軽。車線変更もしやすい。

50km/h辺りから、ステアリングホイールの重さが増してくる。若干不自然な変化にも感じられるが、流れの速い郊外の道でも扱いやすい。幅の細いタイヤは、横方向のグリップ力が限定的。アンダーステアは、巧みな電子制御でなだめこまれ、不安感は小さい。

シトロエンC4 ハイブリッド136 マックス(欧州仕様)
シトロエンC4 ハイブリッド136 マックス(欧州仕様)

乗り心地は、荒れたグレートブリテン島のアスファルトでは、ややゴツゴツとした揺れが残る。マンホールや隆起部分での衝撃吸収性は、もう少し高めたいところ。高速域ではボディの揺れを伴い、浮遊感があり安定性に長けるとはいいにくい。

とはいえ肉厚なタイヤと、サスペンションの油圧マウント、空力的なボディのデザインが相乗し、路面が滑らかな限り洗練性は高い。流暢にカーブを駆け回れるタイプではないが、普段使いの限りは充分に快適といえるだろう。

燃費は、カタログ値で18.1km/L。今回の平均は13.5km/Lと、印象的な数字ではなかった。ガソリンタンクの容量は50Lだ。

C4の強みが、コストパフォーマンスの高さ。18インチのアルミホイールやインフォテインメント・システム、運転支援システム、カーテンエアバッグなど充実した装備で、英国では2万2295ポンド(約499万円)から提供されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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