DS、高級志向強める ベントレーやロールス・ロイスに匹敵「ラグジュアリー車」へ

公開 : 2025.01.20 06:25

フランスの自動車ブランドでステランティス傘下のDSは、さらなる高級化を進め、ラグジュアリーブランド化を目指す。素材やデザインに徹底的にこだわり、ドイツ勢や中国勢とは異なる価値観を打ち出す狙いだ。

ドイツ勢や中国勢と一線画す

フランスの自動車ブランドでステランティス傘下のDSは、高級志向を強め、ロールス・ロイスベントレーなどと肩を並べるようなラグジュアリーブランド化を目指している。

これはDSのデザイン責任者ティエリー・メトローズ氏の言葉であり、同氏は「自動車業界におけるルイ・ヴィトンになることが我々の夢だ」と語った。

DSの新たなフラッグシップモデルとなるNo8
DSの新たなフラッグシップモデルとなるNo8    DS

ブリュッセル・モーターショーで同社の新型車「No8(ナンバーエイト)」を一般公開した際、メトローズ氏はAUTOCARの取材に応じ、「現在はプレミアムブランドだが、我々の使命はプレミアム以上の存在になることだ。ラグジュアリーなフィーリングに触れてみたいと思っている」と語った。

しかし、これには「時間がかかる」と指摘し、長期的な目標ではあるものの、そこに到達できない可能性もあるとした。

「ブランドがまだ非常に若いので、多くの作業が必要だ。我々は2014年にこのブランドを立ち上げたばかりだ。高級自動車ブランドとしてのポジショニングを確立するには、おそらく10年以上、もしかしたら20年以上かかるだろう」

「我々の夢」をどのように実現するかという方法論について、同氏は「細部の品質に非常にこだわらなければならない」と述べた。

新型No8のインテリアは素材の使い方やその応用を含め、ベントレーからインスピレーションを受けているという。

「非常に贅沢なインテリアだ。ドイツの競合他社と比較して、素材の質やインテリアの細部にこだわっている。ラグジュアリーなテイストだ」

「インテリアはドイツ風ではなく、どちらかというとベントレーに近い。もちろんベントレーそのものではないが、インスピレーションの源はアウディフォルクスワーゲンよりもベントレーやロールス・ロイスから得ている」

ステランティスの共通プラットフォームを使用しているDSが、真のラグジュアリー感を備えたクルマを実現できるのかという質問に対して、メトローズ氏は「難しい」としながらも、ルーフラインを下げたり、フロントガラスを後ろに下げてプロポーションを変えたりするなど、基盤の主要部分を変更する能力はブランドにあると述べた。

No8の販売台数目標は設定していない。その代わりに目指すのは、「インテリアの質に重点を置いた、非常に質の高いデザインのクルマを作ること」だという。

「どのブランドもそうであるように、我々もクルマを販売する必要があるが、我々の目標は大量販売ではない。高級感のあるブランドとしてのポジショニングを強化することを優先する」

また、メトローズ氏は、SUVのDS 7とハッチバックのDS 4(今後、No 7とNo 4に名称変更予定)の新バージョンも、No8と「同じスピリット」を持つことを明らかにした。

同氏は、特に中国の新興メーカーの多くがそうであるように、現在のクルマのデザインには画一性が見られるため、大胆なデザインがより重要になってきていると考えている。

「中国メーカーは皆、ポルシェテスラを模倣し、結局はいつもテスラやポルシェに似たものになる。DSでは、同じようなビジョンを追いかけるつもりはなく、より強力なものを維持していきたい」

顧客動向については、「EVの購入には前向きだが、非常に魅力的なデザインで個性あふれるものを求めている」とメトローズ氏は言う。「人々は洗濯機を買いたいとは思っていない」

記事に関わった人々

  • マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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