【詳細データテスト】アウディRS6 圧倒的加速 無駄を削ぎ落としたハンドリング 快適性は一歩後退

公開 : 2025.02.08 20:25

RS6GTは往年のレースカーをイメージしたプロジェクトから生まれた、世界660台の限定モデル。洗練性ではRS6に譲りますが、アウディらしからぬ生々しい走りを味わえる一台で、今後のRSへの期待を持たせてくれます。

はじめに

もしも5年前に、アウディのベーリンガー・ホフ工場のシミひとつない床を歩いていたら、R8の製造過程を追うことができただろう。その3年後なら、そこにEVのスーパーサルーンであるE-トロンGTが加わっていたはずだ。

現在はというと、もはやはじめて火が入るV10の産声は聞こえない。もちろん、R8の生産が終了したからだ。アウディのもっとも手作業が多い製造ラインは、E-トロンGT専用となっており、完成して走り出してもほとんど無音だ。

テスト車:アウディRS6アバントGT
テスト車:アウディRS6アバントGT    MAX EDLESTON

ところが最近、短い間だったがこの小さな工場から、E-トロンGT以外のモデルが送り出された。ここは、アウディの中でも特にリスペクトされるようなクルマのために用意された場だ。それはR8のように、大排気量のガソリンエンジンを積むが、V10より太い唸りを発する。

それが今回テストするRS6アバントGTである。世界限定660台で、独自のボディワークは手作業で仕立てられる。通常のRS6の製造ラインでは対応が難しいレベルの仕上げが要求されるからだ。また、アウディ史上最強の内燃エンジンを積むクルマでもある。今は亡きR8GTすら凌ぐのである。

このクルマは多くの点で、四輪駆動と8気筒以上のエンジンを積む、速く圧倒的なアウディのワゴンへの送辞みたいなものだ。RS6GTは、強いメッセージが込められたクルマでもあり、アウディのレースカーの中でとりわけ愛されたもののひとつを引き合いに出し、愛を込めた惜別の句みたいなものでもある。

もっともわれわれの興味は、この勇ましいなりのスーパーワゴンがどれだけ速いのか、幸運にも手に入れることができた660人のオーナーを、手に入れた後も幸せにしてくれるクルマなのか、という即物的な点に尽きるのだが。

記事に関わった人々

  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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