【世界の電力網を再現】アウディEVの充電テスト用にシミュレーター 結果は開発に直接反映

公開 : 2025.02.05 06:45

アウディは、世界各国のさまざまな電力網を再現するグリッドシミュレーターを備える充電パークを持つ最初の自動車メーカーとなりました。電気自動車の充電テストを実施し、試験結果は研究開発に直接反映されます。

インゴルシュタット発

110ボルトや230ボルト、50ヘルツや60ヘルツといった異なる条件でも、ドイツ・インゴルシュタットのアウディでは、あたかも中国やアメリカ、その他世界各国にいるかのように電気自動車を充電することができると彼らはいう。

インゴルシュタットの新しい充電試験センターでは、アウディの技術開発部門が、世界各国の販売地域の電源条件を再現してアウディの電動モデルをテストしており、その結果は、車両の研究開発に直接反映される。これにより世界中どこでも、顧客は常に最適な充電体験をすることができると説明する。

アウディ、EVの充電テスト用にシミュレーターを開発。
アウディ、EVの充電テスト用にシミュレーターを開発。

アウディは、柔軟に調整することができるグリッドシミュレーターを運用する最初の自動車メーカーのひとつとして、インゴルシュタットの本施設の運用を年初から開始したという。

このシミュレーターは、技術開発部門の充電試験センターの中核を担っており、同センターには複数の国のさまざまなメーカーの充電ステーションが設置されている。

グリッドシミュレーターがあることで、EU圏外の充電ステーションも、必要な電圧や電力網の構成に応じた運用が可能で、これによりアウディは、世界各国の販売地域における実際の条件を再現したフィールドテストを実施できる。

この電力網シミュレーションは、ボッシュ・レックスロスとパートナー企業であるSchmidbaurが共同で開発したものだ。

世界の電力網における主な違い

どの国でも電気はコンセントから供給されるが、各国のコンセント形状を見れば、すべての電気が同じではないことがわかる。これは、電力網の構成、電圧、周波数が、国や地域によって異なるためだ。

例えば、北米で一般的な120ボルト60ヘルツ用の機器は、ヨーロッパ標準の230ボルト50ヘルツでは作動しない。

アウディ、EVの充電テスト用にシミュレーターを開発。
アウディ、EVの充電テスト用にシミュレーターを開発。

「グリッドシミュレーターにより、アウディの電動モデルが米国や中国の充電ステーションでも正常に充電できるかをテストできます」と、プロジェクトマネージャーのダニエル・エッティンガーは説明する。

この柔軟性の高い500kWのシミュレーターは、ボッシュ・レックスロスがアウディと共同で、アウディ専用に開発したもので、100ボルトから540ボルト、周波数40ヘルツから65ヘルツの範囲で電力を供給することが可能で、また、単相、二相、三相の電力網に対応し、スプリットフェーズ(分割単相)での運用もできるという。

アウディのエンジニアは、自社の工場敷地内にある充電試験センターでグリッドシミュレーターを活用し、電気自動車と充電ステーションの相互作用について重要な知見を得る。

ここで得られた知見は、車両ソフトウェアを世界各地の充電ステーションに適合するように最適化したり、アウディの電気自動車の充電性能をさらに向上させたりするために活かされており、この取り組みにより、海外での大規模なテストの必要性が減少し、時間とコストの削減につながると同時に、それぞれの地域の条件に個別に対応した充電体験が提供されるため、世界中どこにいても、より急速かつ簡単な充電が可能になるとアウディは述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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