【新型3008日本初上陸!】近年プジョーを率いたキーパーソンに聞く現状と未来

公開 : 2025.02.07 07:05  更新 : 2025.02.13 08:34

グループ内でセールスと欧州における純利益は1位

プジョーは現在147ヵ国で展開し、ステランティス・グループの中で売り上げ2位(全体の1/5)、セールスと欧州における純利益が1位(同1/3)と、グループを牽引するブランドになっている。また欧州EV市場をリードし、E-208とE-2008はクラストップの販売となっている。EVバンのクラスも同様だ。2024年はE-308、E-308SW、E-408、E-3008、E-5008と5台の新車をCセグメントBEV市場へ送り込んだ。

しかし日本でBEVの普及率が低いように、電動化のペースが各国で違うことは理解していて、ハイブリッドのラインナップ充実もアピール。市場にあわせて満足できるものを提供する必要があるとしている。また、やみくもにたくさんのモデルを打ち出すのではなく、戦略的に絞り込んで正しい方法を用いることの重要性もジャクソンさんは強調していた。

新型プジョー3008から、12年続いてきた『iコクピット』が新世代になった。
新型プジョー3008から、12年続いてきた『iコクピット』が新世代になった。    平井大介

さらにジャクソンさんはQ&Aセッションで、プジョーが抱える今後の課題への回答として、個人的に一番聞きたかった、電動化の速度に言及してくれた。

「電動化は現在、向かい風です。ほとんどのメーカーが同じ課題を抱えています。自動車産業始まって以来、最大の転機かもしれません。ここから5年、10年の変化は、これまでの30年よりも大きいものとなるでしょう。その中で中国メーカーは30%ほど安いコストで、いいクルマを市場に打ち出しています。

我々は、フランス国内に自前のバッテリーなど最も効率のいいサプライチェーンを構築する必要があります。また、複雑さがコスト増を招いていることから、もっと集中的に整理しなければなりません。かつて日本車が欧州にやってきて脅威となり、その次に韓国車が続き、そして現在が中国車です。今難しい時期にありますが、アライアンスパートナーと連携してコストを下げていこうとしています」

減速する電動化と中国車台頭を背景に

210年もの長い歴史を誇るプジョーは、ステランティス・グループで中核を担うブランドとして、外さない立ち振る舞いを求められており、減速する電動化と中国車台頭を背景に、予断を許さない状況に置かれていることが伺い知れる。

その中で、退任をしてしまったものの、ジャクソンさんが導いてきたプジョーからは地に足のついたロジカルさが感じられ、新しいプラットフォームを使用するニューモデルたちへの期待が自然と高まってくる。

ボディサイズが大きくなった3代目プジョー3008。ルーフはクーペスタイルだが、室内は快適な空間だった。
ボディサイズが大きくなった3代目プジョー3008。ルーフはクーペスタイルだが、室内は快適な空間だった。    平井大介

またラウンドテーブルの中で新任となる小川さんは、日本仕様、製品ラインナップの判断材料として、コミュニケーションを深めていくことを課題として示しており、今後はより日本のユーザーに寄り添ったモデルの導入も期待できそう。

ということで、まずは新型プジョー3008の正式な日本発売を楽しみにしたいが、実車は外装デザイン、ボディカラー、内装の居住性、iコクピットの見やすさなど、美点が多く感じられたことだけは書いておきたい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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