グループ進撃の先頭打者 新型 プジョーE-3008(1) 次世代プラットフォームとインテリアを解説

公開 : 2025.07.18 19:05

次世代プラットフォームを採用した新型e-3008 背が高めのクーペ風シルエット 贅沢な素材と包まれ感で特別な雰囲気の車内 普段使いはリニアでスムーズ 充分以上の動力性能 UK編集部が試乗

次世代のSTLAプラットフォーム採用

新しいプジョーE-3008は、ステランティス・グループにとって重要な先頭打者といえる。従来のe-CMPではなく、次世代のSTLAミディアムを基礎骨格とするからだ。ここから、傘下ブランドによる電動モデルの進撃が始まる。

STLAミディアム・プラットフォームのキャッチコピーは、「BEVバイ・デザイン」。従来より大きな駆動用バッテリーと強力なモーターへ対応し、長いホイールベースも可能としている。今後のE-408やE-508でも、採用予定にある。

プジョーE-3008 73kWh アリュール (英国仕様)
プジョーE-3008 73kWh アリュール (英国仕様)

2列5シーターのSUV、E-3008は、3列7シーターのE-5008の兄弟モデル。高級感漂う内装や高度なデジタル技術、不満ない動的能力で、プレミアム市場も視野に含まれている。ライバルはルノー・セニック E-テックやBMW iX2、ボルボEC40まで幅広い。

3008シリーズは、欧州大陸で特に大ヒット。これまで約13万台が販売されてきた。その内、バッテリーEVのE-3008が25%を占めるという。新型でも、ハイブリッドとプラグイン・ハイブリッドも選択できる。トリムグレードは、アリュールとGTの2段階だ。

やや背が高めのクーペ風シルエット

3代目3008のサイズは全長4542mm、全幅1895mm、全高1641mmと、このクラスでは小柄な側。背が高めのプロポーションで、リアガラスが大きく傾斜したクーペ風のシルエットをまとう。腰高な位置のガラスエリアが、SUVであることを主張する。

E-3008の駆動用バッテリーは標準が73kWhで、214psと35.0kg-mを発揮するモーターがフロントへ1基組まれ、航続距離は526kmがうたわれる。ロングレンジ仕様では97kWhと230psへ強化され、700kmへ伸延する。

プジョーE-3008 73kWh アリュール (英国仕様)
プジョーE-3008 73kWh アリュール (英国仕様)

ツインモーターの上位グレードも選択可能。325psへ増強され、73kWhの駆動用バッテリーで最長487km走れると主張される。車重は2262kgと、約150kg増える。

サスペンションは前がストラット式で、後ろがマルチリンク式。コイルスプリングと通常のダンパーが支える。ちなみに、1.2Lエンジンの3008 ハイブリッド136では、後ろが低コストなトーションビーム式になる。

贅沢な素材と包まれ感で特別な雰囲気

車内空間は包まれ感が強く、贅沢な素材がふんだんに用いられ、少し特別な雰囲気。LEDで浮いたように見える、ワイドな21インチ・モニターパネルが上部へ載った、ダッシュボードの位置は高め。一方、空間の広さで際立つわけではない。

2層構造のセンターコンソールも高い位置にあり、アームレストへ繋がる。上部には、ドライブモード・セレクターとエアコンの操作ボタン。その下に、大きな小物入れがある。

プジョーE-3008 73kWh アリュール (英国仕様)
プジョーE-3008 73kWh アリュール (英国仕様)

小径なステアリングホイールが膝上へ伸びる、i-コクピット・レイアウトには、多少の慣れが必要だろう。メーター用モニターは、リムより上の奥の方にあり、部分的に隠れて見えないということはない。選ぶモード次第では、グラフィックは少し派手に思える。

シートは非常に快適。調整域が広く、サポート性にも優れる。下位グレードのアリュールでも、内装には風合いの良いテキスタイルがダッシュボードを覆い、スイッチ類のタッチも上品。BMWやボルボにも劣らない、プレミアム感がある。装備も不満はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

新型 プジョーE-3008の前後関係

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