クラス最安値の個性派 シトロエンe-C3 エアクロスへ試乗 デザイン以上の頭1つ抜けた魅力

公開 : 2025.02.23 19:05

航続距離は299km 穏やかな加速 快適な乗り心地

e-C3 エアクロスのパワートレインは、フロントに積まれる112psの駆動用モーターと、容量44kWhでリン酸鉄リチウムの駆動用バッテリー。航続距離は299kmがうたわれる。

2025年後半までには、大容量バッテリーも選べる予定で、それなら航続距離は402kmほど得られるという。急速充電は、DCで最大100kWに対応する。

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス(欧州仕様)
シトロエンe-C3 エアクロス・マックス(欧州仕様)

公道へ出てみると、エンジンで走るC3 エアクロスと同じくらい軽快。だが、スポーティさを狙ったモデルではなく、速度上昇が鋭いわけではない。車重は1504kgあり、より安定したマナーといえる。

パワーデリバリーは、同じ電動パワートレインを採用する、ステランティス・グループのモデルより穏やか。オペルコルサ・エレクトリックのような、テンポ感の良いレスポンスではない。

回生ブレーキの効きは、やや強め。慣れが必要なほどではなく、ブレーキペダルへ触れずに速度調整しやすい。ドライブモードの設定はなく、完全なワンペダルドライブには対応していない。

乗り心地は、油圧バンプストッパーを採用したサスペンションのおかげで、試乗ルートではフラットで快適だった。荒れた路面での印象は、今回は確かめられていない。カーブでのボディロールは小さくない。

四角いステアリングホイールだが、扱いにくいわけではない。手のひらへのフィードバックは薄いものの、市街地での取り回しは良好といえる。

他方、高速道路では直進状態へ自然に戻りたがる、セルフセンタリングが強め。車線変更などで、正確なライン取りに若干影響を感じた。

エンジン版と変わらぬ頭1つ飛び抜けた魅力

ガソリンエンジン版のC3 エアクロスと同等に、快適で実用的なファミリー・クロスオーバーといえる、e-C3 エアクロス。個性的な見た目に充実した装備で、価格も訴求力は高い。このクラスでは、頭1つ抜けた魅力を感じる。

3列目のシートは備わらないが、それは長距離に適さない補助席的なもの。日常的な7名移動には、そもそも向いていないと割り切れる。半年ほど待てば、より長い航続距離も獲得する見込み。このシトロエンを、筆者は1発で大好きになった。

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス(欧州仕様)
シトロエンe-C3 エアクロス・マックス(欧州仕様)

◯:該当セグメントのバッテリーEVで最安価 他と一線を隠す個性的なデザイン
△:ローコストを感じるインテリア 7シーターが選べない

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万4990ポンド(約487万円)
全長:4395mm
全幅:1850mm
全高:1660mm
最高速度:143km/h
0-100km/h加速:12.9秒
航続距離:302km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1504kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:44.0kWh
急速充電能力:100kW
最高出力:112ps
最大トルク:17.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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