112psでも走り期待以上 シトロエンe-C3 エアクロス(2) 数10万円高くても良かった?

公開 : 2025.11.26 18:10

コスパに秀でた電動クロスオーバー、e-C3 エアクロス シンプルでメリハリある見た目 広々車内に使い慣れた操作系 意外なほど力強い発進加速 現実的な航続は290km弱 UK編集部が試乗

意外なほど力強い発進加速 スムーズでトルクフル

新しいe-C3を長くしたクロスオーバー、 e-C3 エアクロス。駆動用モーターの最高出力は112psで、最大トルクは12.6kg-mと、余力を想起させる数字ではない。それでも、バッテリーEVらしく出だしは意外なほど力強い。

80km/hを超えると勢いは鈍り、同クラスの競合モデルほど活発なわけではないが、ガソリンエンジンの同等モデルから乗り換えれば、スムーズさとトルクの太さに感心できるはず。変速に伴う、ひと呼吸もない。

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)
シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)

アクセルペダルの反応は線形的。回生ブレーキの強さは変えられないが、ブレーキペダルの感触に不自然さもない。

0-100km/h加速は、駆動用バッテリーが小さく車重が1504kgの、スタンダードレンジで約12秒。エクステンデッドレンジでは重くなり、13秒かかるが、ファミリー・クロスオーバーとしては納得の範囲だろう。最高速度は143km/hだ。

軽く回せ正確なステアリング ソフトなサス

操縦性も、動力性能と同じく目立った不満はない。ステアリングホイールは感触が薄いものの、軽く回せ反応は正確。駐車場や入り組んだ市街地では、取り回しやすく感じるはず。流れの速い郊外の道で、運転が楽しいと思えるタイプではないとしても。

サスペンションはソフト側。路面からの衝撃をしっかり吸収してくれるが、減衰力を煮詰めきれていないのか、ユラユラと揺れが残る。それでも、カーブでのボディロールは抑えられており、快適と表現できる。

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)
シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)

タイヤはブリヂストンで、グリップ力は期待以上。気張ってカーブを旋回させても、ラインはしっかり保持されていた。100km/hを超えた辺りから、風切り音と転がり音が大きくなる傾向があり、高速道路での疲労度へ影響しそうだ。

現実的な航続距離は290km弱

運転支援システムの制御は、概ね褒められる。余計な介入がなく、最初の30分ほどはオンだと気付かなかったほど。

今回の試乗での電費は、スタンダードレンジで平均6.4km/kWh。このクラスのEVとしては、もう少し伸びても良いだろう。現実的な航続距離は、290km弱といえる。エアコンは高効率なヒートポンプ式ではなく、冬場などは短くなるはず。

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)
シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)

急速充電は、最大100kWまで。英国では、正規ディーラーで整備を受け続けている限り、最大8年間の保証が付帯する。

コスパの優等生 数10万円高くても良かった?

コスパの優等生といえる、e-C3 エアクロス。恐らく、数1000ポンド(数10万円)高くても、不足ない競争力を得られたように思う。充実した装備でありながら、英国では補助金も付くため、ハイブリッド版のC3 エアクロスより安価なのだから。

確かに、300kmへ届かない実際の航続距離は心もとないかもしれない。だが、少し予算を増やせば、カタログ上では397kmを走れるエクステンデッドレンジも選べる。

シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)
シトロエンe-C3 エアクロス・マックス・スタンダードレンジ(英国仕様)

乗り心地は快適で、大きすぎず扱いやすい。実用性も高い。このクラスの電動クロスオーバーをお考えなら、検討候補へ加えてみて欲しい。

◯:英国市場では最も安価な電動クロスオーバー 広々とした車内空間 操作しやすい車載機能
△:見た目は好き嫌いが分かれるかも 長いといえない航続距離 7シーターは選べない

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 執筆

    アレックス・ウルステンホルム

    Alex Wolstenholme

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シトロエン e-C3 エアクロスの前後関係

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