市中で運転しやすさ実感 シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド(2) 子育て世代にドンピシャ

公開 : 2025.10.24 19:10

同クラスのSUVで欧州初の7シーター、C3 エアクロス 1.2L 3気筒ターボ・ハイブリッドは146ps 充分使える3列目 市街地や駐車場で実感する運転のしやすさ 抜群のコスパ UK編集部が試乗

1.2Lハイブリッドの過不足ない加速

4.4mのボディに3列シートを実現した、シトロエンC3 エアクロス。試乗したのは電圧48Vの電動アシストが備わる、1.2L 3気筒ターボのハイブリッドで、最高出力は146psある。ファミリー・クロスオーバーとして、加速力は過不足ない。

実際の計測では、0-100km/h加速は9.9秒。カタログ値の10.1秒を縮めてみせた。電気モーターがトルクを補完する印象は薄いものの、高速道路の合流などで、気合を入れる必要性は低いだろう。シトロエンへ期待する、余裕まではないかもしれないが。

シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド・マックス(英国仕様)
シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド・マックス(英国仕様)

渋滞時には、電気モーターだけでの走行も不可能ではないが、アクセルペダルはそっと傾ける必要がある。少し深めに踏んだだけで、エンジンはすかさず始動する。

ちなみに、1.2Lの非ハイブリッドと6速MTの組み合わせも、英国には導入される。最高出力は100psで、0-100km/h加速は10.6秒。高負荷時のエンジンノイズが大きい。トルクが細くタコメーターがないため、滑らかな発進・変速は難しいかもしれない。

市街地や駐車場で実感する運転のしやすさ

6速デュアルクラッチATのシフトセレクターにはLモードが備わり、回生ブレーキを僅かに強くできる。効果は限定的のようだが。走行中に、ドライバーが任意のギアを選ぶことはできないものの、CVTのようなラバーバンド感がないのは好ましい。

シトロエンがアドバンスド・コンフォートと呼ぶサスペンションは、英国の一般道でまずまずの能力を発揮する。ある程度整った路面なら、非常に快適。魔法のじゅうたん、と表現するほどではないとしても。

シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド・マックス(英国仕様)
シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド・マックス(英国仕様)

ステアリングホイールは軽い力で回せ、反応は比較的クイック。ボディロールは小さくないが、しっかり抑制されている。グリップ力も頼もしく、普段使いの安心感は高い。交差点の多い市街地や、狭い駐車場で運転のしやすさを実感するだろう。

ただし、高速道路ではステアリングが軽すぎるように思え、好印象が少し薄れる。ソフトなスプリングが組まれたサスペンションは、うねるような路面で減衰力が足りない場面もある。もう少し、操縦性や姿勢制御には締りが欲しい。

7シーターのSUVとしては良好な燃費

車重が増える、バッテリーEV版のe-C3 エアクロスの方が、乗り心地は安定する印象。シトロエン自慢の油圧バンプストッパーを備えるサスペンションは、スマートカー・プラットフォームの軽いモデルでは、実力を発揮しにくいのかもしれない。

運転支援システムは、衝突被害軽減ブレーキに車線維持支援、ドライバー監視、制限速度警告が標準。アダプティブ・クルーズコントロールは備わらない。いずれも動作は安定し、一部はハードボタンで簡単にオフにできる。

シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド・マックス(英国仕様)
シトロエンC3 エアクロス・ハイブリッド・マックス(英国仕様)

1.2Lハイブリッドの燃費は、市街地で19.2km/L。高速道路の巡航では、14.7km/Lへ悪化した。7シーターのSUVとしては良好ながら、このクラスならもう少し伸びても良い。

充実の標準装備で、コストパフォーマンスは間違いなく優れる。ひと回り小さいトヨタヤリス・クロスより、英国では約1000ポンド(約20万円)お安い。7シーターを選ぶには、上級のマックス・グレードを指定する必要があるけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    アレックス・ウルステンホルム

    Alex Wolstenholme

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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