2代目へ刷新 BMW 2シリーズ・グランクーペへ試乗 動力性能はAMG CLA 35に匹敵

公開 : 2025.03.16 19:05

動力性能はメルセデスAMG CLA 35に匹敵

英国仕様のエンジンの1つは、220に載る1.5L 3気筒ガソリンターボ。最高出力169psで、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドとなる。

M235 xドライブに載るのは、2.0L 4気筒ガソリンターボ。300psと40.7kg-mを発揮し、0-100km/h加速を4.9秒で処理する。市場によっては、ディーゼルターボの220dも提供される。

BMW M235 xドライブ・グランクーペ(欧州仕様)
BMW M235 xドライブ・グランクーペ(欧州仕様)

公道へ出てみれば、M235 xドライブの加速はお見事。滑らかに湧出したパワーが、タイヤ4本を介して路面へ伝達される。エンジンのフィーリングは、特に惹き込まれるような個性があるわけではないが、動力性能はメルセデスAMG CLA 35に匹敵する。

ステップトロニック7速デュアルクラッチATは、シフトアップが鋭い。シフトダウンは、やや遅れ気味に思えた。

ステアリングの反応はダイレクトながら、ドライバーとの一体感を生む質感とはいいにくい。コーナリングスピード自体は充分に高いものの、後輪駆動の3シリーズの方が、運転にはのめり込める。

一方、四輪駆動とアダプティブMサスペンションのおかげで、安定性は非常に高い。狙ったラインを、ヒタヒタと辿っていくマナーには充足感が伴う。

乗り心地など、走行時の洗練性はクラス相応に優れる。速度抑止用のスピードバンプをしなやかにいなし、石畳の路面でも振動は抑えられている。高速域では、僅かに落ち着きに欠けるようだが、長距離移動を快適にこなせるだろう。

今回の試乗場所は、アスファルトが比較的平滑だったスペイン。荒れた英国では、どんな印象を与えるだろうか。

実用性と動的能力を両立した小さなサルーン

2代目へ進化した、2シリーズ・グランクーペ。スタイリングはモダンになったが、Mを頭文字に掲げるモデルとして、期待値ほど運転での満足感は得られないかもしれない。2シリーズで走りを重視するなら、2ドアクーペの方が望ましいチョイスになる。

とはいえ、実用性と動的能力を両立させたコンパクトな4ドアクーペをお探しなら、新しいグランクーペは理にかなった1択になる。技術的なアップデートも、魅力の一部を構成している。

BMW M235 xドライブ・グランクーペ(欧州仕様)
BMW M235 xドライブ・グランクーペ(欧州仕様)

ただし、M235 xドライブの予算を用意できるなら、ベーシックな3シリーズも狙えてしまうことが悩ましい。絶対的な速さでは劣るとしても、総合的な魅力度で、劣らないことは否定できないだろう。

◯:有能なコーナリング 充分に広い荷室 居心地の良いインテリア
△:個性の薄い4気筒エンジン 少し過剰気味なデジタル技術 そばにある3シリーズの存在

BMW M235 xドライブ・グランクーペ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万4435ポンド(約866万円)
全長:4546mm
全幅:1800mm
全高:1445mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:13.3km/L
CO2排出量:170g/km
車両重量:1335kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5750rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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