英バッテリー新興企業Volklec 年内にセル生産開始へ 中国から支援

公開 : 2025.03.03 18:25

英国を拠点とする新興企業Volklecは、2025年末までに円筒形セルの生産を国内で開始する。中国企業からのライセンス供与を受け、生産量は最大10GWhに達する可能性がある。

生産量は最大10GWhか

英国のバッテリー新興企業Volklecは、今年後半にコヴェントリーでセルの生産を開始する予定だ。

同社は、中国企業Far East Batteryから直径21mm、長さ70mmのリチウムイオンバッテリーセル2種類の設計のライセンス供与を受けている。

Volklec社の円筒形セルは、中国企業Far East Batteryからのライセンス供与を受けて生産される。
Volklec社の円筒形セルは、中国企業Far East Batteryからのライセンス供与を受けて生産される。

最初に生産されるのは、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)正極材を使用した電動自転車など向けのセルで、その後、自動車および航空宇宙企業向けのより高性能なセルが続く予定である。

最高経営責任者のフィル・ポップハム氏は、英国の小規模スポーツカーメーカーなど、「サービスが行き届いていない」企業向けにバッテリーを生産すると述べた。

「我々は、大量生産のOEMや大規模な顧客は考えていない」と、ロータスの元CEOであるポップハム氏は言う。

2種類のセルは、半官半民のアドバンスト・プロパルジョン・センター、ウォーリック大学、ウェスト・ミッドランズの地方自治体による支援を受けている英国バッテリー・インダストリアル・センター(UKBIC)で生産される。

Volklec社は、まず年間0.1GWh相当のバッテリーをUKBICで生産する予定だ。そしてFar East Battery社がより高性能なセル設計を準備でき次第、1GWhの生産ラインを増設する。

同社はすでに、中国から招いたFar East Battery社の専門家の支援を受け、新工場の稼働に伴う障害の克服に取り組んでいる。

「彼らの生産およびプロセスエンジニアが当社に常駐し、中国での生産レベルに達するまで留まる予定だ」とポップハム氏は述べた。

同氏は、市場からの需要について、予定されている1.1GWhの供給量を上回るだろうと予測している。「市場はすでにそれよりも大きく、今後さらに成長するだろう」

Volklec社は最終的に、英国に独自のバッテリー工場を建設する計画で、その生産量は最大10GWhに達する可能性がある。これは、サンダーランドの日産工場におけるAESCの開発と同等の規模となる。

Far East Battery社との独占契約には縛られていないため、独自の設計によるバッテリー、あるいは他メーカーのバッテリーの生産も可能である。

それでも、ポップハム氏は事業拡大への「現実的」なアプローチを挙げ、慎重な姿勢を示した。

「英国でいくつか失敗例を見て、『実現可能なビジネスモデルとはどのようなものか?』と考えた。より現実的なアプローチ、つまりリスクを回避するアプローチが必要であることは明らかだった」

「わたしが言う『リスク回避』とは、生産開始前に長期間にわたって大規模な投資を行うのではなく、より迅速に市場に参入し、小規模な投資を行うということだ」

「そのため、生産パートナーシップや技術パートナーシップといった提携が必要であると考えた。それが今まさに取り組んでいるところだ」

また、Far East Battery社との提携のメリットについては次のように述べた。

「彼らのスケールメリットを活用できる。初日から彼らを通じて材料を調達し、生産量を増やしていく中で、英国/欧州での現地化プログラムに着手する」

「年末までに生産を開始する予定だ」

「契約では、(Far East Battery社から)同一のセルを輸入することも可能なため、テストやエンジニアリングプログラム、あるいは最終製品への使用を目的として、今すぐに顧客に提供することができる。また、顧客がより多くのセルを必要とする場合には、当社の生産量を増やして、その数量を補うことも可能だ」

「1年後には、より高性能なセルで、このプロセス全体をもう一度繰り返すことになるだろう」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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