目指すはカッコいい狩人? ジャエクー7 プラグインHVへ試乗 お財布には優しいけれど

公開 : 2025.03.03 19:05

中国の新ブランド、ジャエクー(JAECOO)が英国へ レンジローバー・ヴェラールに影響を受けた7 静かで力強いプラグインHV 動的には磨き込み不足でもお財布には優しい 英編集部が辛口評価

レンジローバー・ヴェラールからインスパイア

中国から英国へ届けられる、新モデルの勢いは衰えを知らないようだ。2024年末には、チェリーから派生したブランド、ジャエクー(JAECOO)が、5種類ものSUVを導入すると発表した。

このブランド名は、ドイツ語で狩人を意味する「Jager」と、英語でカッコ良いことを意味する「Cool」を組み合わせたもの。SUVをメインに扱い、プレミアムな位置付けにあるという。

ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)
ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)

その7は、ランドローバー・レンジローバー・ヴェラールからインスパイアされた、ガソリンエンジンのSUV。全長4500mm、全幅1865mm、全高1680mmというボデイサイズを持ち、フォルクスワーゲンティグアンより僅かに短く、高い。

パワートレインは、1.6L 4気筒ガソリンターボか、1.5L ガソリンターボ・プラグイン・ハイブリッドの2種類。英国価格は、前者で2万9495ポンド(約575万円)から。後者は3万5065ポンド(約684万円)へ設定され、該当クラスではお手頃な部類に入る。

今回はその両車へ試乗できたが、英国市場では主力になるであろう、チェリーの技術を利用したプラグイン・ハイブリッドの印象から先にお伝えしよう。システム総合での最高出力は203psで、最大トルクは31.4kg-mを発揮する。

静かで力強いプラグインHV 跳ねがちな乗り心地

駆動用バッテリーはCATL社製で、容量は18.3kWh。電気だけで最長91km走れ、満充電+満タンでの航続距離は1198kmに達すると、ジャエクーは主張する。

駆動用モーターは比較的力強く、高速道路の速度域まで対応可能。必要に応じて1.5Lエンジンも加勢するが、どちらも動作音は非常に静か。加速力は、充分に活発だといっていい。

ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)
ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)

ただし、高速道路の合流などでアクセルペダルを踏み込むと、タイヤのトラクションは抜けがちだった。EVモードでも。

駆動用バッテリーの充電は、DCで最高40kWまで。残量30%から80%へ回復するのに、約40分が必要になる。19.7kWhの容量を持つティグアン eハイブリッドは、5%から80%まで26分で終わる。

車重は1795kgあり、カーブではその質量を実感する。ボディロールも盛大に生じる。ステアリングホイールは軽く回せ、切り込んでも重みはほぼ変わらない。手応えが薄く、反応は曖昧に感じられてしまう。

凹凸の目立つ区間では、柔らかいサスペンション・スプリングの影響で、ボディは跳ねがち。100km/hを超えた辺りから、揺れが大きくなり安定性が明らかに低下していた。

平静・丁寧に運転している限り、マナーが気になることはないかもしれない。だが、同クラスのライバルより磨き込みが劣ることは否めない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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