【直6×PHEVは決定版?】レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550e レンジと電気の相性は抜群

公開 : 2025.04.29 07:05

電動化はSUVのネガにも効果的

パワートレインの電動化はモーターによる動力性能だけでなく、シャシー側の動的質感にも恩恵をもたらしている。レンジローバー・スポーツの場合は、電制油圧のスタビライザーがエアサスとともに姿勢制御の要となっており、SUV車の弱点でもあるコーナリングにおける重心の高さを見事に相殺していた。

今回感心させられたのは、コーナーで大きな入力が入った時の姿勢変化の小ささよりも、『電制』の効果で柔らかさをしっかり担保できている点だった。コーナーで踏ん張るだけならバネを固めればいいが、それでは乗り心地が硬くなってしまう、というジレンマを高い次元で両立できていたのである。

ジレンマを解消した足回りと美味しいパワートレイン。
ジレンマを解消した足回りと美味しいパワートレイン。    神村聖

レンジローバー=高級SUVというイメージに対して、電動化による静粛性の高さもドライブしていて自然な感じがした。また、一般的なPHEVよりもさらにEV走行が現実的という部分も好印象だった。217psという最高出力のモーターはタウンスピードでは十分なパワーだし、WLTCモードでは116km、実際には90km程度走れるEV航続距離も心強い。

平日はBEVとして活躍し、週末はガソリンがあるので充電の心配がないというPHEVの特性とレンジローバー・スポーツのキャラクターが、お互いの足を引っ張ることなく自然な協力関係を築けている点が、今回のモデルの最大のアピールポイントといえる。

ランドローバーにはさらに上級なSVシリーズもあるが、『BEVの前の決定版』は直列6気筒エンジンを搭載したこっちだと言えよう。

レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550eのスペック

全長×全幅×全高:4960×2005×1820mm
室内長×室内幅×室内高:1920×1375×1145mm
ホイールベース:2995mm
トレッド:F1700mm R1705mm
車両重量:2840kg
乗車定員:5名
EVモード航続距離:116km
エンジン形式:直列6気筒2997ccツインターボ、ガソリン
最高出力:400ps
最大トルク:550Nm
モーター最高出力:218ps
モーター最大トルク:45.9kg-m
システム総合出力:550ps
システム総合トルク:81.6kg-m
駆動方式:4輪駆動
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式 Rインテグラルマルチリンク式
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク
タイヤ:F&R 285/45R22
価格:1736万円〜

神村聖

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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