BMW 自動運転の時代に「駆けぬける歓び」追求 ドライビングの楽しさと性能を重視

公開 : 2025.04.29 06:45

自動運転車の開発が進む中、BMWは自社のスローガンである「駆けぬける歓び」を忘れず、ブランドのコアバリューとして魅力的な運転体験を追求していく姿勢です。次世代EVでは革新的な車載コンピューターを導入します。

今こそ力を入れるべき領域

BMWは、ブランドのスローガンである「駆けぬける歓び」を決して失うことなく、先進的な自動運転技術の開発と、車両性能とドライビングの楽しさを追求していくと約束している。

同社は先週、中国で開催された上海モーターショーで、新型のプロトタイプ『ビジョン・ドライビング・エクスペリエンス(以下、VDE)』を公開した。これは、次世代EVに採用される新しいパワーマネジメントシステム『ハート・オブ・ジョイ(Heart of Joy)』の性能をアピールする、4モーター搭載のスーパーセダン・コンセプトカーだ。

BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス・コンセプト
BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス・コンセプト    BMW

次期3シリーズを予告するビジョン・ノイエクラッセ・コンセプトから進化したもので、「世界最速の実験車両」と称されている。

VDEは1835kg-mものトルクと最大1200kgのダウンフォースを誇るが、単なる加速力やコーナリング性能だけでなく、「運転物理学の限界」に挑戦するために設計されている。実際、上海モーターショーでは55度の傾斜を直進するデモ走行が披露された。

BMWの製品責任者であるベルント・ケルバー氏によると、これは「運転の楽しさと性能がこれまで以上に重要になる」ことを示す取り組みの一環だという。

同氏は上海モーターショーの会場でAUTOCARの取材に応じ、参加したメーカーの間で自動運転技術の進化とモビリティ全般の自動化が大きなテーマとなっていると語った。

例えば、フォルクスワーゲンは高速道路や都市部で利用可能な「レベル2++」の自動運転機能を備えた運転支援システムを発表し、また、IT大手のファーウェイ(華為)は今年400万台近くの車両に搭載されるというレベル3のシステムを披露した。

一方、吉利汽車傘下のブランド、ジーカー(Zeekr)は、EVの007がロボット充電器によって充電できるよう、人間の操作を一切必要とせずに正確な位置に自律走行できることを示した。

中国当局が自動運転車に関して誤解を招く恐れのある誇大広告に対する規制強化を発表したが、自動運転は依然として主要な競争領域であり、上海モーターショーでは主要メーカー各社の力の入れようが見て取れた。そのため、駆けぬける歓びに焦点を当てているBMWの姿勢は、際立って対照的であった。

ケルバー氏は、「誰もが自動化に目を向けている中で、なぜ当社はドライビングに力を入れているのか」として、BMWはドライバーズカーのメーカーとしてのコアバリューと伝統を堅持していることを示すことが重要だと説明した。同社にとって頼りにできる特性だ。

「わたしの予測では、自動運転の高度化が進むにつれて、ドライビングの重要性が高まるでしょう」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×