【徹底解説&試乗】売れ筋はウルトラ!ボルボXC90乗るならマイルドハイブリッド

公開 : 2025.05.14 11:45

今春にビッグマイナーチェンジを果たして進化したボルボのフラッグシップSUV、XC90。今回は中核グレードとなるマイルドハイブリッド車『ボルボXC90ウルトラB5 AWD』に試乗します。モデルチェンジ概要を含めた、篠原政明による解説&試乗記です。

いちばん売れているボルボXC60

かつてはボルボといえばエステート、つまりステーションワゴン、現在のモデル名でいえば『V○○』が主流だった。

しかし、21世紀に入った頃からSUVモデルの『XC○○』やワゴン系のクロスカントリーモデル『V○○XC』といったモデルにトレンドが移り、いまや日本でも世界でも、いちばん売れているボルボ車はミドルクラスSUVのXC60だという。

マイルドハイブリッド車の上級グレード、ボルボXC90ウルトラB5 AWDを試乗。
マイルドハイブリッド車の上級グレード、ボルボXC90ウルトラB5 AWDを試乗。    田中秀宣

現在、ボルボのXC系は小さいほうからXC40/XC60/XC90がラインナップされているが、今回紹介するXC90はプレミアムEセグメントにあたる、ボルボのフラッグシップSUVだ。

初代は2002年に発表され、現行型は2015年に発表(日本仕様は2016年に発売)された2代目にあたる。日本デビューからも10年近く経つが、今年中には世界で100万台の販売台数を達成する見込み。日本でも毎年コンスタントに1000台以上のペースで、今までに1万台以上が販売されているロングセラーモデルなのだ。

日本仕様のバリエーションは、従来型と同じ

そんなXC90が、ビッグマイナーチェンジされた。日本仕様のバリエーションは、従来型と同じ。プラグインハイブリッド車の『ウルトラT8 AWD プラグインハイブリッド』がトップグレードで、マイルドハイブリッド車の『ウルトラB5 AWD』、そして『プラスB5 AWD』の3グレード。今回はマイルドハイブリッド車の上級グレード、ウルトラB5 AWDを試乗する機会を得た。

『ウルトラ』と『プラス』の違いは、ヘッドアップディスプレイ、シートの機能や生地、オーディオ、リアドアのサンブラインドといった快適装備くらいで、パワートレーンや安全装備などは基本的に変わらない。

車両価格はプラスが1019万円、ウルトラが1099万円と価格差は80万円。1000万円クラスのクルマを購入するユーザーは「80万円の差だったら……」と考える人が多いようで、日本でもXC90の販売比率は、プラスB5:ウルトラB5:ウルトラT8が1:6:3くらいだという。

エクステリア以上にインテリアを刷新

エクステリアでは、フロントまわりを一新した。斜線が重なり合うグラフィカルなグリル、マトリックスデザインLEDでスリムになったトールハンマーヘッドライトをはじめ、ボンネットやバンパーもデザインを変更して、日本でも人気のEX30など、新世代の電気自動車とデザインの親和性を感じさせる。

サイドビューのシルエットは変わらないが、アルミホイールもデザインを変更。テールランプも形状は同じだがダークカラーレンズの採用でLED点灯時の視認性を向上している。

ダッシュボートは直線基調になり、センターディスプレイは9から11.2インチにアップ。
ダッシュボートは直線基調になり、センターディスプレイは9から11.2インチにアップ。    田中秀宣

フロントまわり以外は従来型と大きくは変わらないから、遠目には区別しにくいので従来型オーナーはホッとしているかもしれない。だが、ドアを開けるとインテリアはかなり刷新されている。

ダッシュボートは直線基調になり、センターディスプレイは9インチから11.2インチにサイズアップ。ピクセル密度も21%向上して、操作性と視認性が大幅に進化した。実際、運転中にディスプレイをチラ見しても情報は把握しやすいし、またタッチのレスポンスやアプリの選択なども分かりやすく、運転中に煩わしさを感じることはない。

ライトアッシュウッドパネルにチャコールのインテリアカラー

シート形状は従来型と同じだが、試乗車は無償オプションのネイビーヘリンボーンテキスタイルという100%リサイクル素材を使用したステッチ入り。これも無償オプションのライトアッシュウッドパネルにチャコールのインテリアカラーという組み合わせは、落ち着いた雰囲気でなかなかオシャレ。

3列シート7人乗りというレイアウトもそのままで、2列目はおとな3人でも余裕で座れ、スライドもするのでヘッド&フットスペースともタップリ。3列目は身長170cmまでと制限されているが、172cmの筆者が座ってみると天井に髪の毛が触れる。体育座りほどではないがフットスペースもミニマムなので、小柄なおとなか子ども用と割り切ったほうがいいだろう。

3列目使用時で314L、3列目を格納すれば692L、2列目も全倒すれば最大1148Lというラゲッジスペースは広大で、2列目シートバックは40:20:40の3分割可倒式だから、乗車人数と積載荷物に合わせてアレンジは多彩だ。もちろんハンズフリーテールゲートやグロサリーバッグホルダーにストレージトレイなど、ワゴンからの使いやすさを踏襲したボルボらしいラゲッジスペースだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事