上級クラスの万能選手 ボルボXC90(2代目) UK中古車ガイド PH以外のガソリンがオシ

公開 : 2025.03.08 19:05

強敵ひしめく上級SUVセグメントで、万能選手的な評価を得るXC90 エアサスがイメージ通りの乗り心地 広々で上質な車内空間 オススメはプラグイン以外のガソリン 英編集部が長短を再確認

強敵ひしめくセグメントでの万能選手

現行型となる、2代目ボルボXC90が発売されたのは2015年。既に10年目を迎えている。ベストセラーとなった初代も、13年ほど生産は続いたが。

大型SUVとして、優れた技術を満載していただけでなく、上質な内装は実用的で見た目もハンサム。高効率でありながら動力性能にも不満はなく、強敵ひしめくこのセグメントで、万能選手的な高い評価を得ている。

ボルボXC90(2代目/2015年〜/英国仕様)
ボルボXC90(2代目/2015年〜/英国仕様)

開発が進められた2010年前後は、ボルボにとって難局といえる時期にあった。アメリカのフォード傘下から、中国のジーリー・ホールディングス傘下へ移籍。ブランド主力モデルの1つとして、2代目へかかる期待は極めて高いものだった。

ボルボは、手加減なしで新世代へ取り組んだ。プラットフォームは新開発で、エンジンも全面的に改良。インテリアは高級感が追求され、BMW X5アウディQ7など、ライバル以上の仕上がりが目指された。

その努力は、見事に形となって表れた。何度か大幅なアップデートを受け、2025年でもその魅力は薄れていない。初期型なら、英国では1万5000ポンド(約292万円)も用意すれば、入手することができる。

AUTOCARは、225psを発揮する2.0L 4気筒ディーゼルターボを称賛している。従来の直列5気筒ユニットより0.5L近く排気量は小さいにも関わらず、アクセルレスポンスはクラス最高水準で、大きなボディを不満なく加速させたからだ。

エアサスがイメージ通り 広々で上質な車内空間

ただし、8速ATの反応は今ひとつ。普段使いでは滑らかに変速するが、活発な加速を求めると反応が若干もたついた。乗り心地も、ぎこちない場面はあった。

そのかわり、硬めのコイルスプリングのおかげで、コーナリングはX5へ迫るほど積極的。エアスプリングなら、高速域での安定性は大幅に上昇し、ツギハギの多い市街地でも見事なフラットさを実現した。ボルボのイメージどおりに。

ボルボXC90(2代目/2015年〜/英国仕様)
ボルボXC90(2代目/2015年〜/英国仕様)

2.0L 4気筒ガソリンターボから320psを引き出すT6や、ディーゼルターボで235psのD5、プラグイン・ハイブリッドで407psのT8なども設定。後者は電気で38km走れるとうたわれつつ、0-100km/h加速を5.9秒でこなす俊足だ。

2019年にフェイスリフト。エンジンの選択肢も見直されている。英国市場へは、235psのB5と、250psのB5Pが投入されている。どちらも、2.0Lガソリンのマイルド・ハイブリッドとなる。

車内空間は上質。細部まで丁寧に作り込まれ、使い勝手も秀抜といえる。シンプルなスカンジナビアンデザインで、居心地が良い。ダッシュボード中央の9.0インチタッチモニターの操作性も良く、一部に実際に押せるハードスイッチも残る。

2列目と3列目の乗員空間も、驚くほど広い。四角いシルエットが功を奏し、最後尾にも大人が充分座れる。小物入れが各所に備わり、荷室容量は775Lを誇る。

プレミアムな7シーターSUVとして、XC90はクラストップの完成度にある。モデルチェンジが迫る中、今ならお手頃にその魅力を味わうことが可能といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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