こんなに気持ち良かった?:メルセデス・ベンツ Eクラス ディーゼル・フォエバー(2) 時代の節目に乗りたい1台

公開 : 2025.06.28 17:50

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レンジ・スポーツでは4割以上が選ぶディーゼル

ランドローバーレンジローバー・スポーツを運転していると、古い世代に積まれていた、強力なV型8気筒のディーゼルエンジンが恋しくなる。高性能な最新世代のシャシーに、新たな特長を追加するかもしれない。

直列6気筒ディーゼルのD350と、V8ガソリンのP530の価格差は、英国では1万6000ポンド(約312万円)ほど。この差額も手伝って、まだユーザーの4割以上はディーゼルを選ぶらしい。SV仕様の塗装を選ぶと、半額以上は埋まるとしても。

手前からレッドのランドローバー・レンジローバー・スポーツ D350 オートバイオグラフィーと、シルバーのメルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン、ブラックのBMWアルピナ D4 S グランクーペ
手前からレッドのランドローバー・レンジローバー・スポーツ D350 オートバイオグラフィーと、シルバーのメルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン、ブラックのBMWアルピナ D4 S グランクーペ

ランドローバーは、「世界を牽引するパワートレイン技術のフレキシビリティさで、バッテリーEVを提供し始めるタイミングでも、内燃エンジン車やハイブリッド車を提供できます」。としている。ディーゼルエンジンの今後については、明らかではない。

乗り慣れたCクラスのように馴染める

同じく表現を濁しているのが、メルセデス・ベンツ。「2030年代まで、電動パワートレインやハイブリッド・パワートレインで、様々なユーザーのニーズへ対応していきます」。と、大枠を表明している程度だ。

レンジローバー・スポーツから乗り換えると、メルセデス・ベンツE 450d エステートは、乗り慣れたCクラスのように馴染める。ゆとりある上質な車内空間と、3面のモニターで構成されるダッシュボードに、ブランドのスタンスを強く感じる。

メルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴン(英国仕様)

初めはデジタル感に圧倒されるが、音声アシスタント「ヘイ・メルセデス」の使い方を理解すれば落ち着ける。制限速度警告は、声をかければ簡単にオフにできる。

過去の普通のEはこんなに気持ち良かった?

発進させると、走りの良さに驚く。過去の普通のEクラスは、こんなに気持ち良かっただろうか。アルピナD4 Sグランクーペと比較しても、身のこなしは機敏。1000rpmすぎからモリモリとトルクがみなぎり、2065kgのボディを軽々と進める。

エンジンは、今日の3台で1番静か。9速ATは1番滑らか。小さな金属製パドルを弾けば、お好みのギアと回転数を選べるが、AT任せでもまったく不満はない。積極的に飛ばしてみても、変速は常に賢明。自然と、ドライバーの気持ちを鼓舞する。

手前からシルバーのメルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴンと、ブラックのBMWアルピナ D4 S グランクーペ
手前からシルバーのメルセデス・ベンツ E 450d 4マティック・ステーションワゴンと、ブラックのBMWアルピナ D4 S グランクーペ

ドライブモードを問わず、エアサスペンションの乗り心地と姿勢制御は完璧。適度に素早く高精度なステアリングが、正確な回頭性を叶えている。コーナーの途中でパワーをかけると、リアタイヤが頼もしく蹴り出す。

四輪駆動システムの制御も見事。優しい見た目のステーションワゴンでありながら、驚くほどのコーナリングを披露する。グレートブリテン島の、傷んだアスファルトとの相性も抜群。多くのドライバーへ、充足感を与える。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ディーゼル・フォエバーの前後関係

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