三菱トライトンが8日間2500kmの過酷なラリーに挑戦!【増岡浩総監督らが決意を語る】

公開 : 2025.07.08 11:45

三菱が技術支援するチーム三菱ラリーアートは、2025年8月8日〜16日にタイで開催される『アジアクロスカントリーラリー2025』に三菱トライトンで参戦します。それに先駆けて、増岡浩総監督らがメディアに決意などを語りました。

30回目を迎えるアセアン最大規模のクロカンラリー

三菱自動車工業(以下、三菱)が技術支援するチーム三菱ラリーアートは、8月8日〜16日にタイで開催される『アジアクロスカントリーラリー2025』に三菱トライトンで参戦する。それに先駆けて、増岡浩総監督らがメディアに決意などを語った。

アジアクロスカントリーラリー(以下、AXCR)とは、1966年に初開催され、2025年で30回目を迎えるアセアンで最大規模のFIA公認クロスカントリーラリー。

メディアの取材に応える左から増岡浩総監督、田口勝彦選手、社員ドライバーの小出一登選手。
メディアの取材に応える左から増岡浩総監督、田口勝彦選手、社員ドライバーの小出一登選手。    平井大介

アジア特有の荒れた路面や気候の中、山岳部やジャングル、海岸、プランテーションなどを走破する。クルマの走破性や耐久信頼性はもちろん、ドライバーとコドライバーのスキルやチームの総合力が試されるラリーだ。

近年はタイを出発点として開催され、マレーシア、シンガポール、中国(雲南省)、ラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなどの世界遺産等がポイントに設定された。毎年、コースの設定や通過国は変わっている。2022年は11月にタイ〜カンボジア、2023年は8月にタイ〜ラオス、2024年は8月にタイのみのルートで開催された。

2025年は8日間と約2500kmに拡大

2025年は8月8〜16日に、当初はタイとカンボジアを舞台にする予定だったが、国境閉鎖の関係などでタイ1ヵ国での開催となった。コースなどは近日中に発表される予定だが、パタヤをスタートし、再びパタヤでゴールするルートが計画されている。

また、近年は6日間で約2000kmの設定で競われてきたが、30回目の節目を迎える2025年は8日間と約2500kmに拡大された。

熟成されたトライトンで3年ぶりの総合優勝を目指す。
熟成されたトライトンで3年ぶりの総合優勝を目指す。    平井大介

チーム三菱ラリーアートでは、AXCRの参戦を通して三菱およびラリーアートのブランド向上、市販車であるトライトンのアセアン地域での知名度向上、耐久性、信頼性、走行性能をアピール。車体、シャシー、エンジンなどの技術開発を推進することを目的に参戦している。

2022年には総合優勝、新型トライトンで参戦した2023年は総合3位、2024年は総合5位だったが、熟成されたトライトンで3年ぶりの総合優勝を目指す。

AXCRに参戦するトライトン

2022、2023年は4台、2024年は5台体制で挑んだチーム三菱ラリーアートだが、今年は整備能力の向上などを図り3台に集約する。いずれも市販車のトライトンをベースとし、2022年に総合優勝した地元タイのチャヤポン・ヨーター選手と田口勝彦選手の車両は2024年仕様をベースに各部に改良を施し、総合優勝を目指す。

社員ドライバーの小出一登選手の車両は競技用に最適化されたAT車で、市販車高性能化の技術検証を行うとともに、チームメイトのサポートも行う。

2024年は5台体制で挑んだチーム三菱ラリーアートだが、今年は整備能力の向上などを図り3台に集約。
2024年は5台体制で挑んだチーム三菱ラリーアートだが、今年は整備能力の向上などを図り3台に集約。    三菱自動車工業

2トップとなるチャヤポン選手と田口選手の車両は、耐久性の向上や足まわりの熟成などで戦闘力を向上させている。全長5070mm、全幅1995mm、ホイールベース3130mmで、ベース車よりも前後にオーバーフェンダーを装着し、トレッドも1730mmに拡大されている。

2.4Lの直列4気筒ディーゼルターボエンジンは160kW(約218ps)以上の最高出力と500Nm以上の最大トルクを発生。このパワーを6速シーケンシャルトランスミッションを介してフルタイムで4輪を駆動する。

足まわりではクスコ製減衰力調整式ツインダンパーやエンドレス製ブレーキシステム、排気系にはHKS製のAXCRコンペティションモデルを装着している。

小出選手の車両は基本的にベース車と同じボディなので、全長5070mm、ホイールベース3130mmのサイズとパワートレインや足まわりはチャヤポン選手と田口選手の車両と同じだが、全幅1865mm、トレッド1570mmはベース車とほぼ変わらない数値。

トランスミッションは6速ATで、スーパーセレクト 4WD-IIを組み合わせる。これはサポート車両でもある小出選手のドライバーとしての負担を減らすことと、ATや4WDシステムのデータ収集という目的もある。

いずれの車両もエンジンフードや後ろドアパネル、カーゴアウターパネルなどはカーボン製で、チャヤポン選手と田口選手の車両はフロントフェンダーや前ドアパネルもカーボン製となっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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