「ソフト」で最新性能を維持 最新 ボルボEX90へ試乗 群を抜いて静かで快適! 517psは強力過ぎ?

公開 : 2024.09.06 19:05

XC90を置き換える、電動SUVが遂に登場 ソフトが性能を左右 グーグル・ベースのOSに14.5インチの大画面 静かな車内に素晴らしい乗り心地 強力な92.5kg-mのトルク 英編集部が評価

コンピュータとソフトで性能を最新に保つXE90

ボルボの大型SUV、XC90は歴代で長寿命だ。初代は12年間作られ、2014年に2代目へバトンタッチ。既にこれも10年が経過するが、依然として人気を保っている。

加えて2代目XC90は、プラットフォームやエンジン、スタイリングなど、現在へ至るボルボの方向性を決めたモデルともいえた。ブランドへ大きな成功を導いた。そこへ新たに加わるのが、まったく新しいXE90だ。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)

これは7シーターの大型SUVで、今後数年間のうちにすべてのボルボへ採用されるであろう、先進的な技術を実装する。XC90が現在の牽引役とするなら、XE90は未来を指し示す旗振り役となる。

見た目の雰囲気はXC90に似ているが、その電動仕様というわけではない。XE90のプラットフォームは、SPA2と呼ばれる、バッテリーEV専用の新開発品。フロア部分には、107kWhという大容量の駆動用バッテリーが敷かれている。

急速充電能力は、最大250kWまで。航続距離は最長601kmが主張される。

ボルボが自信を滲ませるのが、プラットフォームとペアを組むコンピュータの処理能力。ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV:ソフトが性能を左右する自動車)といった新たな言葉があるが、このXE90は、まさにその先端を突っ走っている。

XE90のハードウエアは、数年先の将来を見据えた設計が施されている。そのライフサイクル下で、ソフトを無線通信で適宜更新し、安全性や走行性能を最新の状態に保ち続けるという考え方だ。

グーグル・ベースのOSに14.5インチの大画面

お手持ちのスマートフォンも、ハードの性能には一定のマージンがあり、OSが定期的にアップデートされているのをご存知だろう。新しいソフトへ更新されるたびに、スマートフォンの性能は良くなる。次世代の機種が出ても、新機能を近い形で利用できる。

SDVのアプローチは、それと近い。一方で、ソフトが運転体験を支配するような、良くないイメージを抱かれるかもしれない。ボルボEX30は、そこで評価が振るわなかった。しかし、EX90は明らかに違う。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)

まず、主要な車載機能が、ダッシュボード上のタッチモニターへ集約されたわけではない。14.5インチの大画面が備わり、グーグル・ベースのOSは稼働しているが、メーター用モニターとヘッドアップ・ディスプレイがちゃんと備わる。

運転支援システムも、EX30より遥かに高精度で動作する。警告が鳴り続けることはないし、運転体験をしっかり向上させる。例えばアダプティブ・クルーズコントロールは、渋滞時でも順調な流れでも、高速道路で見事に運転をアシストしてくれた。

実際に押せるハードボタンはなくても、エアコンの温度調整は簡単だし、モニターやディスプレイの表示は鮮明。グローブボックスのロックや、ステアリングホイールの位置調整までタッチモニターを介する必要があるのは、面倒だが。

発売段階では、アップル・カープレイなど一部の機能は利用できないという。複雑なソフト開発を理由に、EX90の発売は約1年遅れたが、まだ技術者のタスクリストに残りはあるらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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