上手く交渉すれば思っていた以上の金額も?元国産ディーラー営業マンが語る新車値引き交渉術

公開 : 2025.10.14 12:05

某国産ディーラー営業職、自動車教習所の指導員、中古車買取業者、タクシードライバーと、クルマ関連の職を転々とした異色の経歴を持つ齊藤優太が、値引き交渉のコツと共に、購入時に最も大切なことを解説します。

新車購入時のココロガマエ

新車を購入するとき、ディーラーのセールス担当者と商談を進め、グレードやオプション、支払い方法などを決めて、売買契約するのが一般的な流れとなる。この商談の途中で肝となるのが値引き交渉だ。より良い条件(よりお得な金額)を提示してもらうためには、どのように話を進めていけばよいのだろうか。

結論から言うと、最も重要なのは『具体的な着地点(契約する目標金額)』を明確にすることだ。

値引き交渉で重要なのは、具体的な着地点だ(写真はイメージです)。
値引き交渉で重要なのは、具体的な着地点だ(写真はイメージです)。

これが不明瞭な場合、セールス担当者は値引きを渋り、相手(買い手)の着地点がどこなのか探りながら値引き交渉をすることになる。一方、買い手側から着地点の提示があった場合、その金額まで値引きできるよう最大限の努力をする。

ポイントは主に次の3つが挙げられる。

【1】購入を決める金額を明確に伝える

どこまで値引きをしたら契約を結ぶのかを明確にすることが大切。値引き交渉の途中で端数(例:295万8200円)が出た場合「端数を切ってくれたら(例:295万円)」や「せっかくならきれいな数字にしたい(例:290万円)」など、難しいかもしれないがもしかしたら可能かもしれないというラインの着地点を示すとギリギリまで値引きしてくれる可能性が高くなる。

【2】「この金額まで頑張ってくれたら、今日この場で契約する」と伝える

セールス担当者は、1台でも多くのクルマを販売したいと考えている。そのため、「この金額(あらかじめ提示した着地点となる金額)まで頑張ってくれたら、今日この場で契約する」と宣言すると値引き交渉を進めやすくなる可能性が高い。

このような宣言をして好条件で契約をするためにも、商談に向かう際は契約書に署名および捺印する準備をしておくとよいだろう。

【3】ローンで購入する場合は月々の支払額を着地点にする方法もあり

クルマをローンで購入する場合は、月々の支払額を着地点にするという方法もある。例えば、「頭金が100万円以下、月々の支払額が30,000円以下になればこの場で契約する」というように伝えると、値引き額や下取り額を調整してくれたり、別のローン会社で審査を通してくれたりすることがある。

では、肝心の目標金額は、どのくらいに設定するのがよいのだろうか。

新車の値引き交渉には目安がある?

一般的に新車の値引き限度額は新車価格の10%程度と言われている。1割引き、と考えるとなかなか大きい金額になるし、四捨五入次第で数字の印象も大きく変わる。「大丈夫かな?」という気持ちも働くが、最初は思い切って提案してもいいだろう。

さらに、オプションの追加や下取り額の調整をするなど、さまざまな方法を使えば、実質的な値引き額をアップさせることが可能だ。

単に値引きだけではなく、オプションや下取り額の調整もポイント(写真はイメージです)。
単に値引きだけではなく、オプションや下取り額の調整もポイント(写真はイメージです)。

金額を提示したら、セールス担当者との心理戦が始まる。もちろん、すぐに「わかりました、その金額でお売りします」とはいかない。そこで、上記のような交渉が必要になるというわけだ。

実際、筆者がセールス担当者として新車の商談をしていたとき、「あなたから買いたいから、あと少しだけ何とかならない? もう少し(例:あと5万円)安くしてくれたら、絶対にここで決めるから」と言われたことがある。

このように言われると、実績のためにも何とかしようとするし、最終的な決定権を持つ上司(いわゆる店長)に「ここであと少しだけ値引けば絶対に決まる」と伝えやすくなり、ギリギリまで値引きできる場合もある。

言い換えると、セールス担当者と仲良くなり、上手く交渉すれば思っていた以上の値引き額を引き出すことができる。一方で、とにかく安く買いたいの一点張りだと、値引き限度額を渋られたり、商談そのものが破談したりすることがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    齊藤優太

    Yuta Saito

    1991年生まれ。大学卒業後、某国産ディーラー営業職、自動車教習所の指導員、中古車買取業者、タクシードライバーと、クルマ関連の職を転々とし、2020年にフリーランスとなる。現在もクルマのことを学びながら、さまざまな媒体を通じて情報を発信している。普通自動車第一種教習指導員、普通自動二輪指導員、応急救護指導員、運転適性検査指導員、普通自動車第二種運転免許、中型自動車運転免許など、多くの国家資格を保有。

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