しのぎを削る安価EV勢に一石 ヒョンデ・インスター・ロングレンジ(1) 車内はクラス以上 アイオニック系を強力補完

公開 : 2026.03.16 18:05

欧州でEVの販売倍増を掲げるヒョンデ パンダにも似た個性を漂わせるインスター 車内はクラス以上の雰囲気 キレの良いレスポンスに良好な乗り心地 高速安定性も高い UK編集部が試乗

欧州でEVの販売倍増を掲げるヒョンデ

欧州でバッテリーEVの販売倍増を掲げる、ヒョンデ。目標達成で鍵を握るのが、アイオニック・シリーズの拡大といえるが、庶民的な小さなモデルも基盤作りでは重要となる。全長3825mm、全幅1610mmというサイズを持つ、インスターが英国へ上陸した。

エンジンで走るコンパクトカーが生産終了を迎える一方、駆動用バッテリーは技術の向上で低価格化が進み、安価なEVは増殖中。ルノー 5 E-テックやプジョーe-208、フィアット500eなどがしのぎを削るが、ここへ一石を投じるのがインスターだ。

ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)

プラットフォームは、ヒョンデ・グループのK1。アイオニック・シリーズは、EV専用のE-GMPを基礎骨格とするのに対し、こちらはエンジンにも対応したもの。実際、韓国では同じ見た目でキャスパーというモデルも売られている。

ヒョンデは、優れた実用性を強みとしてきた。近年は、成熟したEV技術でも注目を集めている。運転の楽しさも重要といえるが、有力な候補になり得るか迫ってみよう。

フィアット・パンダにも似た明確な個性

見た目は、正方形が並んだドット状のライトと、前後に入る丸いアクセント、強調されたフェンダーラインが特徴的。滑らかな面処理や、クロスオーバー風のスキッドプレート、バンパーなどが相まって、フィアット・パンダにも似た明確な個性を得ている。

トリムグレードは01か02の2択。前者なら15インチを履くが、後者なら17インチへ大径化され、クラムシェル状のボンネットと相まって、高級感を醸し出す。

ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)

駆動用バッテリーは、グロス値で42kWhか49kWhの2択(編集部注:日本仕様はベースモデルのみ42kWh、他は49kWh)。駆動用モーターはフロントタイヤを駆動し、最高出力は98psか116psを選択できる。サスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろがトーションビームと、従来的な構成となる。

ボディサイズは、5 E-テックより100mmほど短く、幅は約160mmも狭い。それでいて全高は1575mmと高く、プロポーションは独特といえる。車重は、49kWh版で1335kg。5 E-テックは52kWhのバッテリーを積み、より重い。

車内はクラス以上の雰囲気 自然な運転姿勢

インテリアのデザインは、統一感が若干薄いかもしれない。だが、スイッチやタッチモニターは上位モデルから流用され、クラス以上の雰囲気。間接照明も仕込まれる。

ダッシュボードやドアパネルなど、硬質な樹脂が露出した領域は多いものの、期待外れというほどではない。小物入れは各所に用意され、エアコンの操作パネル下にも大きな空間が確保されている。

ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)

ドライビングポジションは自然で、軽自動車のように、不自然さが残ることはない。シートは腰部分を支えるランバーサポートが弱めで、座面も短いものの、座り心地は悪くない。アームレストが丁度いい場所に伸び、カップホルダーは2本分ある。

モニター式のメーターは、グラフィックが鮮明で視認性は良好。表示はカスタマイズでき、必要な情報を選べる。質感の良いステアリングホイールも、上位モデルからの流用。ドライブモードのセレクターが配され、エコ、ノーマル、スポーツから選べる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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