ライバル超えの熟成感 ヒョンデ・インスター・ロングレンジ(2) キレ良いレスポンスに290kmの実航続距離 検討に値するEV

公開 : 2026.03.16 18:10

欧州でEVの販売倍増を掲げるヒョンデ パンダにも似た個性を漂わせるインスター 車内はクラス以上の雰囲気 キレの良いレスポンスに良好な乗り心地 高速安定性も高い UK編集部が試乗

キレの良いレスポンス 調整幅の大きい回生ブレーキ

ヒョンデの小さなバッテリーEV、インスター。試乗車は116psを発揮し、0-100km/h加速を10.6秒でこなすと主張される。実際に計測したところ、10.1秒となかなか活発なダッシュ力を披露した。

50km/hから110km/h程への中間加速も8.8秒で、パワフルとは呼べないものの、コンパクトカーとして不満ないレベルだろう。市街地の速度域では、キレの良いレスポンスが好印象。速度の上昇とともに勢いは鈍るが、速度管理はしやすい。

ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)

回生ブレーキは5段階から調整でき、ステアリングホイール裏のパドルで切り替えられる。惰性走行を許す弱さから、ワンペダルドライブ可能な強さまで変化は大きく、運転のしやすさへ貢献。同クラスでは、贅沢な機能ともいえる。

ブレーキペダルの踏み応えは、ソリッドで頼もしい。ABSが効くような急ブレーキ時は、安定性に陰りが出るとはいえ、制動距離も充分短い。112km/hからの停止を、47.2mで処理していた。205と幅が広めなタイヤも、貢献しているはず。

しなやかな乗り心地 高速安定性も高い

乗り心地は全般的にしなやか。郊外の道に多い波長の長い起伏を穏やかにこなし、舗装のツギハギや細かな凹凸も、クラス上のモデルのようにいなす。試乗車の17インチではなく、15インチ・ホイールなら、一層の快適性を得られるはず。

高速道路では、背が高めで横風の影響を受けやすいものの、落ち着きも期待以上。加速力を踏まえ、追い越し時は後方車両の流れへ配慮したいところだが。

ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)

グリップ力は高く、加速させながらカーブを巡っても、前輪駆動なことを感じにくいほど。小回りも効き、幅の狭いボディと相まって、市街地では扱いやすさが際立つ。

他方、ボディロールは小さくなく、軽くない車重が影響し、スタビリティ・コントロールの介入も積極的。少しお高めの価格を正当化するように、総合的な運転体験では5 E-テックの方が優れる。

現実的な航続距離は290km前後

今回の試乗での電費は、普段使いを想定した条件の平均で8.2km/kWhと、5 E-テックの8.0km/kWhを僅かに超えてみせた。高速道路での巡航も5.3km/kWhで、0.5km/kWhほど良い。現実的な航続距離は、290km前後といえる。

急速充電は、最高85kWまで。実際に試したところ、残量10%から90%まで回復させる平均値は65kWで、このクラスでは妥当な水準といえる。

ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 49KWH ロングレンジ 02(英国仕様)

英国価格は、エントリーグレードの01で2万3505ポンド(約494万円)から。ヒートポンプ式エアコンや10.25インチのタッチモニター、アダプティブ・クルーズコントロールなど、装備は充実している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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