『本当に普通でいいクルマ』だった【ヒョンデ・コナ長期レポート#19最終回】

公開 : 2025.10.14 11:45

編集部ではヒョンデ・コナを長期レポート中ですが、今回で最終回となります。ということで1年弱を振り返りつつ、筆者と旧知の仲であるレーシングドライバーの檜井保孝氏にも試乗頂きました。

約1年間を共にした

編集部で長期レポートを行ってきたヒョンデコナが、予定どおり9月末で退役となった。最初のレポートを掲載したのは昨年12月23日だが、実際にはもう少し前から編集部に来ており、1年弱を共にしたことになる。

コナの前に数ヵ月レポートした同じヒョンデのアイオニック5が、担当者としてはBEV生活初体験だった。急速充電の仕方など右も左もわからないところから初めて、今では自宅に200Vの充電用屋外コンセントを備えるまでになったことは、他ならぬ自分自身が一番驚いている。

編集部で長期レポートを行ってきたヒョンデ・コナが、予定どおり9月末で退役。
編集部で長期レポートを行ってきたヒョンデ・コナが、予定どおり9月末で退役。    平井大介

また、ヒョンデ自体の取材もアイオニック5が実質的なスタートだった。それまでいわゆる趣味車を中心とした媒体を渡り歩いてきたので、反対側のベクトルにあるBEVとはあまりご縁がなく、従って電動化モデルのみを扱う日本のヒョンデは触れる機会がなかったのだ。

その印象はレポートで記してきたが、改めて振り返るとアイオニック5もコナも実に完成度の高いクルマであった。両車で一番異なる点は、アイオニック5がBEV専用プラットフォームの後輪駆動ベースであるのに対し、コナは本国ではICEもラインナップしており、フロントにパワーユニットを置くFFであることだ。

その違いは乗り味にも現れていて、BEVらしい目新しさという点でアイオニック5が、ICEから乗り換えても違和感のない自然さという点でコナが、それぞれ上回っていた。それはあくまで違いであり、大きさもデザインもだいぶ異なるから、用途や好みで選べばいいという話だ。

檜井保孝氏が公道で試乗

退役の直前に、筆者とは旧知の仲であるレーシングドライバーの檜井保孝氏に高速道路を含めた公道で試乗して頂く機会があった。

檜井氏は、法定速度以上はテストしてみないとわからないと前提した上で、100km/h以下の速度域では加速もよく秀逸な仕上がりと感心。特に低速度域、街中での乗り心地を高く評価した。

自動車メーカーが作ったBEVとしてバランスよく仕上がったクルマであると檜井氏。
自動車メーカーが作ったBEVとしてバランスよく仕上がったクルマであると檜井氏。    平井大介

ただ、これはBEV全体の話としてやはり車重が重くなる傾向にあり、コナの車重も1770kgと決して軽くない。従ってBEVの足まわりはどうしても硬くなり、乗り心地には悪い影響しか与えないと指摘。また、これは過去の当レポートでも指摘したが、後席の乗り心地が前席よりもよくないと感じたそうだ。

しかし、試乗日が酷暑だったにもかかわらず快適だったエアコンや、充実した装備など、使い勝手のよさは半日足らずの試乗でも感じることができたそう。航続距離など、使用条件が合う人にはちょうどいいように作られているとも指摘。

バッテリーが先立つ新興メーカーたちとは違い、コナは自動車メーカーが作ったBEVとしてバランスよく仕上がったクルマであると、檜井氏は結論付けた。ICEと両立させていることも、そのよさに繋がっているのではないかとのこと。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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