1970年代の名車ロータス『エスプリ』が現代に復活 ツインターボV8で400ps 50台限定の最新レストモッド

公開 : 2025.12.08 11:45

足回りは現代的に再構築

再構築されたV8エンジンに合わせて、サスペンションシステム、アンチロールバー、電子制御システムも完全に新規設計となり、現代的な車体構造を獲得した。

特に重要な技術的変更点の1つは、フライオフ式ハンドブレーキから電子式への切り替えだ。これにより全体のパッケージングを改善し、バルクヘッドの強化、機械部品削減による軽量化、リアブレーキの大型化などが可能になった。

アンコール社のレストモッド『シリーズ1』
アンコール社のレストモッド『シリーズ1』    アンコール

アイブス氏は次のように述べている。

「優れた部分はすべて残しています。(オリジナル車は)率直に言って素晴らしいクルマです。パワーステアリングの性能は、当時も今も最高峰と評価されてきました。アンコールはそれらをすべて継承しつつ、その上に新たな要素を構築しているのです」

「わずかに軽量化され、わずかにパワーアップしています。これが(S4生産終了後)20年にわたる技術発展の成果です」

マクラーレンのような現代車の硬いサスペンションに変える意味はありません。柔軟性を保ちつつ、かつてのアナログな運転感覚を再現したい」

オリジナルに忠実なデザイン

アンコール・シリーズ1は、オリジナルのロータスとほぼ同じ見た目(サイズも同一)だが、ボディは完全新設計だ。ドナー車両のS4のグラスファイバー製チューブを撤去し、S1の仕様を厳密に再現したカーボンファイバー製ボディを装着している。

アイブス氏によると、強度と軽さを両立するために新しいボディシェルを採用したという。

アンコール社のレストモッド『シリーズ1』
アンコール社のレストモッド『シリーズ1』    アンコール

「構造全体を見直すことにしました。既存のボディシェルを完全に取り外し、後の活用先を確保した上で、バックボーンシャシーに装着する完全新規のボディシェルを製作しました。シェルはオリジナル比で約半分の重量であり、もちろん驚異的な剛性を備えています」

外観はオリジナルを「洗練」させたものだが、現代的なタッチと独自のデザイン要素が随所に散りばめられている。

例えば、フロントとリアに配置されたレトロフューチャー的なデイタイムランニングライトが大きな特徴だ。リトラクタブル・ヘッドライトにはLEDを採用し、点灯時の開き角度を低く抑え、空力性能の向上に寄与している。また、8灯式のリアライトはエンジンが8気筒であることを示している。

変更点は細部に及び、オリジナルのサイドボディの黒いラインも廃止されている。

「あれは当時としては実に巧妙な設計でした。というのも、上下にそれぞれ巨大なタブを作り、中央で接着しているのです。接着用にはフランジ部分があり、それを打ち消すために黒く塗装し、デザインに溶け込ませたのです」とアイブス氏は言う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事