寿命を延ばしたアルミ製の立役者 ロータス・エスプリ & マクラーレンMP4-12C(1) 英国製V8の世界
公開 : 2025.07.20 17:45
古くから英国車でも採用されてきた、太いトルクに勇ましい響きのV8エンジン 設計の起源には日産やGMも ベントレーにモーガン、マクラーレンまで、UK編集部が個性的な10台の魅力を再確認
寿命を延ばした立役者、タイプ918ユニット
モーガン・プラス8に迫る、約30年間のモデルライフを全うしたロータス・エスプリ。このミドシップ・スポーツの寿命を延ばした立役者が、タイプ918と呼ばれる、ツインターボV8エンジンだ。
ロータスによれば、バンク角90度のオールアルミ製ユニットは完全な独自設計。燃料供給や点火時期、排気ガスを管理する電子制御システムも、自社開発されたものだった。車両を診断するOBD規格に準拠したエンジンとして、世界初でもあった。

ダブルオーバーヘッドカム(DOHC)で、フラットプレーンクランクを採用し、排気量は3506cc。ギャレット社製のT25ターボが左右に組まれ、最高出力355ps/6500rpm、最大トルク40.7kg-m/4250rpmを叶えていた。
タイプ918の重量は214kgと軽く、従来の4気筒ユニットより50kg重いだけ。車重は1380kgで、1996年でエスプリは21年目を迎えていたが、その時代へ不足ない動力性能を得ていた。
S4でも変わらないシャープなシルエット
スタイリングも、同様に古びていなかった。ジョルジェット・ジウジアーロ氏による当初のウェッジシェイプは角が丸められていたものの、1987年のS3で手を加えたピーター・スティーブンス氏によって、フレッシュさが保たれていた。
1994年にも、S4としてジュリアン・トムソン氏が改良を施している。それでも、低くシャープなシルエットは変わらない。

ドアを開くと、ワイドなサイドシルが現れる。運転席へ腰を下ろすと、ペダルは左側にオフセットしているものの、運転姿勢は理想的。高い位置のセンタートンネルからシフトレバーが突き出し、3スポークのステアリングホイールが垂直に伸びている。
サイドボルスターの高いシートは、座り心地に文句なし。メーターパネルのレイアウトに、無駄はない。
弾かれるような速度上昇 殆どないターボラグ
スターター・モーターを回すと、V8エンジンは控えめなサウンドで回転を始める。低速域での印象は、あまり良いものではない。APレーシング社製のクラッチは重く、ルノー由来のトランスミッションは、変速フィールがゴムのよう。
開放的なルートへ足を踏み入れると、V8エンジンは真価を表す。カタログ値の0-100km/h加速4.8秒は少し華飾したものに思えるが、アクセルペダルを踏み込んだ途端、弾かれるように速度を増していく。パワーウエイトレシオは、257ps/tと優秀だ。

ターボラグは殆どなく、レッドラインは7500rpmだが、パワーのピークは3500rpm前後で訪れる。トルクカーブはかなりフラット。素早くシフトアップしたいところだが、やはりレバーの感触は好ましくない。







































































































