V8を包む流れるフォルム ロータス・エスプリ 4世代(3) 全世代へ宿るオリジナルのDNA

公開 : 2025.08.10 18:55

世間を驚かせたジウジアーロのくさび形 ヨーロッパのシャシーを延長 S1の車重は898kg 燃費に優れた907ユニット S4はV8ツインターボで300馬力以上 UK編集部が4世代を振り返る

21世紀へモデルライフを伸ばしたトムソン

X180型のロータス・エスプリが発売される直前、フォードから移籍してきた若きデザイナーが、ジュリアン・トムソン氏。早々に彼は、アルミホイールと前後のスポイラーのデザインを担当した。

それから6年後の1992年、エスプリのモデルライフを伸ばすべく、フェイスリフトを任される。かくして1994年にリリースされるエスプリ S4は、2001年まで生産が続いた。2.2Lエンジンの最高出力は上昇し、スポーツ300やS4 Sでは304psへ達した。

ブラックのロータス・エスプリ S4 Sと、シルバーのエスプリ V8
ブラックのロータス・エスプリ S4 Sと、シルバーのエスプリ V8    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「自分とラッセル・カーさんとで、クルマを仕上げたんです。最初は、フロントバンパーやサイドシル、ホイールへ手を加えました。全部は無理だろうと考えましたから。ところがデザインは好評で、すべて手直しすることが決まりました」

ただし、美しくはないエアバッグ内蔵のステアリングホイールは、規則要件だった。「ウイングは何度もカタチを練りました。ちゃんと機能するように。フロントの冷却系も、重要な要素でしたね」。トムソンが回想する。

同時代のポルシェフェラーリへ伍する能力

今回のブラックのS4 Sは、ダン・アンドリュース氏がオーナー。映画007の影響で、古くからエスプリに憧れてきたという。

最終形といえるS4は、ジョルジェット・ジウジアーロ氏のオリジナルと比べて、メジャーモデル感が強い。洗練されすぎている、ともいえるかもしれない。それでも、空力特性が磨かれ、同時代のポルシェやフェラーリへ伍する能力を有していた。

ロータス・エスプリ S4 Sと、ジュリアン・トムソン氏
ロータス・エスプリ S4 Sと、ジュリアン・トムソン氏    マックス・エドレストン(Max Edleston)

アンドリュースのS4 Sをテストコースで解き放つと、従前の2世代との速さの違いは瞭然。パワーウエイトレシオは、理想的な値にある事がわかる。ステアリングは、パワーアシストが標準になっても感触が鮮明。機敏な操舵感が清々しい。

S1と比べれば、車重は約450kg重い。カーブでは、ほのかに重量差を感じさせるものの、高速域でも身軽で落ち着いている。ターボチャージャーの存在感は薄く、より滑らかといえるが、パワートレインの個性は薄いかもしれない。

よりソフトで流れるようなフォルムに

ミレニアムを経て、ロータスのデザイン部門を率いることになったラッセル・カー氏は、2001年にS4のボディを磨き込む。V8ツインターボエンジンと21世紀へ、一層相応しい見た目と空力特性へするべく。

「今となっては、当時が懐かしい。平面的なウェッジシェイプのデザインは、少し流行遅れに見られる時代でした。自分たちは、よりソフトで流れるようなフォルムにするよう努めています」

ロータス・エスプリ V8と、ラッセル・カー氏
ロータス・エスプリ V8と、ラッセル・カー氏    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「フロントバンパーは、V8エンジンを積極的に冷やすため、多くの空気を取り込む必要がありました。エアインテークが大きくなり、存在感にも大きな影響が生まれていますよね」。カーが振り返る。

その時点で、トヨタへ手配していたテールライトは、入手が難しくなっていた。そこで円形4灯のデザインへ改められている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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