シャシーはポルシェ356の技術者 ジョウェット・ジュピター(1) 前端に1.5L水平対向4気筒
公開 : 2025.12.28 17:45
軽快な反応 高い長距離との親和性
当時の自動車雑誌、オートスポーツ誌では、優れたコーナリング性能へ驚かれているが、現代の感覚では際立つほどではない。それでも、強固なシャシーと低い重心で、進路変更は軽快。ボディは外へ傾くが、路面をしっかり掴み続け、安定性は低くない。
60psといえどもトルクは太く、排気音はフォルクスワーゲン・ビートルのものを少し現代風にアレンジしたよう。フロントから、機械的なノイズが響いてくる。高域まで滑らかに回り、変速を少しサボっても粘り強い。

4速MTは、ファイナルギアがロングに変更され、加速力は本来より穏やか。トーションバーは柔らかく、乗り心地は快適。起伏が続く道を、清々しく疾走できる。サウンドは荒っぽいが、粗野な振動は生じず、長距離との親和性は高い。
モンテカルロへ挑んだ特注クーペ
独立したシャシー構造を理由に、ジュピターはコーチビルダーの注目を集めた。全体の1割は、ボディの載らないランニングシャシーで販売されたほど。殆どが英国の職人がボディを与えたが、イタリアのファリーナ社も4台を手掛けている。
ダーク・レッドの1台は、1952年にJEファー&サン社によってボディが架装されている。ラリードライバーのロバート・エリソン氏が、1950年のラリー・モンテカルロでのクラス優勝を再現したいと、1951年にクーペを発注したことで生まれた。

現在のオーナーは、シーラ・リッグ氏。沢山のスペアパーツを積めることと、修理のしやすさが念頭に置かれ、美しいボディとはいいにくいと話す。丸く膨らんだドアも、工具などを積めるように考えられたもの。後席側は狭く、荷物置き場のようなものだ。
この続きは、ジョウェット・ジュピター(2)にて。






















































































































