ランボルギーニのマーケティング&セールスキーマンが語る、成長を続けるファイティングブルの現在地【スーパーカー超王が訊く】

公開 : 2025.12.29 11:45

スーパーカー超王こと山崎元裕が、ランボルギーニ車の販売を率いるチーフマーケティング&セールスオフィサーのフェデリコ・ソフキーニ氏にインタビューします。10月は東京で、11月はランボルギーニ本社で、2回に渡り行いました。

東京とイタリアで2回に渡ってインタビュー

10月に東京都江東区で開催された『ランボルギーニ・デイ・ジャパン2025』。そして翌11月にイタリアのサンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニ本社で行われた、『A day as a Lamborghini customer』という、実に魅力的なタイトルを掲げたカスタマー体験イベント

筆者はその2回に渡り、ランボルギーニ車の販売を率いるチーフマーケティング&セールスオフィサーのフェデリコ・ソフキーニ氏にインタビューするという貴重な機会を得た。

10月に開催された『ランボルギーニ・デイ・ジャパン2025』。右から3人目がソフキーニ氏。
10月に開催された『ランボルギーニ・デイ・ジャパン2025』。右から3人目がソフキーニ氏。    ランボルギーニ・ジャパン

すでにランボルギーニは、2025年第3四半期までの期間に8140台を納車と発表。2026年を迎えれば近いうちに通年の実績も発表されるはずだが、納車台数においても、そして財務面においても、2025年のランボルギーニはさらに確実な成長を果たすことは確実視されるところだ。

その成長戦略を率いるソフキーニ氏は、東京でのインタビュー時には、「2025年の販売実績は2024年とほぼ同じ水準で推移しているが、しかしながら目標としているところは2024年の数字を上回ることである」と明確に語っている。

常にバランスに優れた販売実績を記録

ドイツのアウディ・グループに再編されて以来、ランボルギーニが順調に成長を続けてきた背景には、魅力的な新型車の投入はもちろんのこと、アメリカ、EMEA(ヨーロッパ、中東)、APEC(アジア、オセアニア)という3つの地域で、常にバランスに優れた販売実績を記録してきたことにある。

それは世界の経済情勢の変化に対して強いブランドであることを意味するのだが、ソフキーニ氏は「2024年の実績においては、アメリカ、ドイツに続いて世界で第3位の市場となる日本は安定した、まだまだ成長の可能性がある」とさらなる販売増に期待を込めた。

フェデリコ・ソフキーニ氏は、チーフマーケティング&セールスオフィサーを務める。
フェデリコ・ソフキーニ氏は、チーフマーケティング&セールスオフィサーを務める。    ランボルギーニ・ジャパン

一方でグローバルな視点からランボルギーニ車の販売を見た場合には、「中国市場の減速(ちなみに香港、マカオを含めると、2024年の市場規模は世界で第5位だった)、アメリカのトランプ政権による関税対策による影響などは大きな懸念材料となるだろう」と指摘している。

商品性、カスタマーの属性や消費動向

サンタアガタのイベントでは、さらに詳しく現在のランボルギーニ車の商品性、そしてカスタマーの属性や消費動向についての説明をソフキーニ氏から受けることもできた。

現在ランボルギーニには、12気筒ミドシップの『レヴエルト』、最新の8気筒ミドシップの『テメラリオ』、そしてSSUV(スーパースポーツSUV)たる『ウルス』の3モデルが存在。その全てでPHEV化を実現しているのは他社に対しての大きなアドバンテージだ。

左からレヴエルト、ウルス、テメラリオ。いずれもPHEV化を実現している。
左からレヴエルト、ウルス、テメラリオ。いずれもPHEV化を実現している。    ランボルギーニ

カスタマーの年齢層に40歳以下というラインを設けると、レヴエルトでは25%、テメラリオ(ウラカンを含む)が30%、そしてウルスは38%という数字になる。各モデルとも、購入理由のトップにあげられるのは『デザイン』で、それにレヴエルトとウルスでは『パフォーマンス』が、テメラリオでは『エンジン』という言葉が続くという。

カスタマー個人の好みをさらに忠実に反映させるための、『アド・ペルソナム』のビジネスもその成長は著しい。ランボルギーニ車をオーダーする時に、何らかのオプション装備を選択するのはもはや常識ともいえることだが、その究極形ともいえるアド・ペルソナムの利用率は、2022年には1割を超える11%に達した。その後は徐々にその数字を高め、昨2024年には26%ものカスタマーがそのシステムを利用するまでに至っているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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