2000年代を代表するハイパフォーマンスカー 30選(後編) 幻に終わったコンセプトモデルも

公開 : 2025.12.28 11:45

2000年代、それまでの常識や記録を打ち破るハイパフォーマンスカーが数多く登場しました。VWゴルフGTIから日産GT-R、ブガッティ・ヴェイロンまで、時代を象徴する高性能モデルとコンセプトカーを紹介します。

日産GT-R R35(2007年)

R35世代の日産GT-Rは、2000年代で特に大きな期待を背負っていた。何しろ日産は、最新型ポルシェ911ターボよりも速く、しかもその半額近い価格で、細部への比類なきこだわりを持って生産すると主張したのだ。AUTOCAR英国編集部が2007年12月に日本で初試乗した際、その期待に十分応えていることがわかった。

専用設計の3.8LツインターボV6エンジンにより480psを発生するGT-Rは、0-97km/h加速タイムで911ターボを上回り(3.5秒対3.6秒)、さらにニュルブルクリンクでも7分37秒という驚異的なラップタイムを記録した。また、当時の市販車としてはまだ珍しかったローンチコントロールを装備し、クリーンルームで手作業で組み立てられた精巧なデュアルクラッチ式オートマティック・トランスミッションを搭載している。驚くべきことに、R35型GT-Rの生産は2024年まで続いた。

日産GT-R R35(2007年)
日産GT-R R35(2007年)

AUTOCAR英国編集部の評価:「911ターボより速く、最新技術満載でわずか5万5000ポンド(約1140万円)……? GT-Rは信じられないほど素晴らしい、いや、それ以上だ」

ポルシェ911ターボ(2006年)

確かに、日産GT-Rは、2006年に登場した997.1世代ポルシェ911のターボモデルを最終的には凌駕した。だが、ポルシェを軽視してはいけない。実際、近年997ターボの価値は上昇傾向にある。その背景にはいくつかの理由がある。

例えば、マイナーチェンジ前の3.6L仕様の997は、ル・マン優勝マシンである911 GT1のエンジンを基にした「メッツガー」水平対向6気筒エンジンを搭載した最後の911ターボだった。また、マニュアル・トランスミッションが設定された最後の911ターボでもあり、これが今日の希少価値をさらに高めている。GT-Rの方が速かったとはいえ、911も決して劣ってはいない。AUTOCAR英国編集部のロードテストでは、フェラーリF430ランボルギーニガヤルドよりも911を選ぶと結論づけたほどだ。

ポルシェ911ターボ(2006年)
ポルシェ911ターボ(2006年)

AUTOCAR英国編集部の評価:「我々がテストした中で最速クラスの1台であるだけでなく、間違いなく史上最高の911ターボでもある」

ポルシェ911 GT3 RS(2006年)

結果的に、2006年は997.1世代の911にとって重要な年となった。まず輝かしいターボが登場し、すぐにGT3が続き、そしてこちら――シュトゥットガルトが生んだ最高傑作の1つと評される997.1 GT3 RSである。

モータースポーツ由来の3.6L「メッツガー」水平対向6気筒エンジンを搭載し、8400rpmという目もくらむばかりのレッドラインを誇る。GT3 RSは、過激なGT3をさらに進化させ、ボディシェル大型化により前後トレッドの拡大を実現し、さらに20kgの軽量化が図られた。また、現在のPDK専用モデルとは異なり、6速マニュアル・トランスミッションのみが設定されていた。

ポルシェ911 GT3 RS(2006年)
ポルシェ911 GT3 RS(2006年)

AUTOCAR英国編集の評価:「これはポルシェの最高傑作の1つだ。レーシングカーに直結した性能でサーキットでは圧倒的だが、公道でもまったく遜色ない」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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