今しかない、リーズナル、そしてマニアック!2026年注目の中古車3台を大晦日に大選抜【第5水曜日の男、遠藤イヅルの令和的ヤングタイマー列伝:第6回】

公開 : 2025.12.31 12:05

こんにちは。クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルです。年に数回だけやってくる『第5水曜日』に、『今見直したい』ヤングタイマー世代のクルマについて記す当連載。第6回は『2026年に注目したい3台』を選んでみました。

キーワードは今しかない!

2025年もついに大晦日を迎えますが、なんと今連載の更新日である第5水曜日が当たりました。そこで2025年最後を飾る第6回は、来たる2026年に注目したいヤングタイマーを、独断と偏見で3台選んでお送りします。

とはいえヤングタイマーの数は膨大。その中からどうやって3台を決めるかを考えた結果、この連載の基本軸である『マニアックさ』および『今、見直したい車種』、そして部品流通などを考えると『今しかない』車種、さらに『リーズナブルで、しかも今後も価格が急激に上がる可能性は低い』という4つのキーワードを軸に、これらを組み合わせて選抜することとしました。

それまでのシトロエンに比べると、奇抜さを抑え、常識的なデザインだったエグザンティア。
それまでのシトロエンに比べると、奇抜さを抑え、常識的なデザインだったエグザンティア。    シトロエン

シトロエン・エグザンティア:ちょっと大変、でも乗れば幸せ!

まずは、1993年に『シトロエンBX』の後継車として登場したシトロエンのDセグメントサルーン『エグザンティア』から。

ベルトーネ時代のマルチェロ・ガンディーニがデザインしたBXと比べると、当時同カロッツェリアを率いていたマルク・デュシャンによるエグザンティアの内外装は、国際常識的な範疇に収まるものでした。

長いホイールベースとフロントオーバーハング、大きなキャビンが作るフォルムは、まちがいなくシトロエンのそれです。
長いホイールベースとフロントオーバーハング、大きなキャビンが作るフォルムは、まちがいなくシトロエンのそれです。    ステランティス

足回りはBXの前任である『GS(GSA)』から続くハイドロニューマチックで、エグザンティアもその驚異的な乗り心地を受け継いでいます。さらにハイドロニューマチックの欠点だったコーナリング時のロールを抑える『ハイドラクティブII』搭載モデルや、V6エンジン搭載版も用意されました。

全長4.5m、全幅1.75mほどの車体は現在の基準からするとコンパクト。長大なホイールベースがもたらす圧倒的に広い車内と広大な荷室を持ち、ある意味究極の実用車と呼べる1台です。

しかし販売終了から約25年を迎え、流通台数が激減。部品の確保や維持も難しくなっています。レストア対象個体も出てきたBXや、他の有名なシトロエンに比べると趣味性も低く、もともとマニアックな同社のクルマでもよりマニア度合いが高め。それなのに流通価格は上がっておらず、今後もその傾向は変わらないでしょう。

『マニアック』、『今、見直したい』、『今しかない』、『リーズナブル』の条件全てを揃えています。トラブルは皆無ではありませんが、乗ったら幸せな気持ちになるのは間違いありません。

2代目フィアット・パンダ:初代と3代目に挟まれた大穴?

『フィアット・パンダ』といえば、ジウジアーロ・デザインの初代モデルは言うまでもなく、日本では2013〜2023年に販売された3代目も高い人気を保っています。

大手中古車検索サイトを見ると、初代の平均価格は約110万円で、年式を考えると高値。3代目は約77万円ですが、25万円〜350万円と価格幅が大きくなっています。

背が高い5ドアハッチバックで登場した2代目パンダ。2003年の段階でSUV風というコンセプトは斬新?
背が高い5ドアハッチバックで登場した2代目パンダ。2003年の段階でSUV風というコンセプトは斬新?    ステランティス

いっぽう間に挟まった2代目の平均価格は約55万円、価格幅は20〜140万円です。しかし140万円の個体は、走行距離極短の『特殊物件』です。

2003年デビューの2代目は、本来『ジンゴ』という名前でしたが、ルノーから車名が『トゥインゴ』と紛らわしい、というクレームが入りパンダになった経緯があります。

そのため外観は初代と大きく異なり、ドアも4枚備えているのですが、むしろそれが実用性の高さを産みました。性格的にも、3代目と欧州では発表済みの4代目『グランデパンダ』が継承しているのは興味深いです。

デザインは今でも古くならず、広大な面積を誇るガラスサンルーフなどの個性的な装備も充実。鬼門のトランスミッション『デュアロジック』に不安があるものの、『今、見直したい』、『リーズナブル』なオシャレ輸入車として再注目したい1台です。

なお本稿執筆時点で掲載されている17台の内訳は、ノーマルモデルが8台、スポーツモデルの『100HP』が6台、内外装が自慢の『アレッシィ』が1台、4輪駆動の『4×4クライミング4WD』が2台でした。いずれも魅力たっぷりです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    遠藤イヅル

    Izuru Endo

    1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター兼ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。実用車や商用車を好み、希少性が高い車種を乗り継ぐ。現在の所有は1987年式日産VWサンタナ、1985年式日産サニーカリフォルニア、2013年式ルノー・ルーテシア。
  • 撮影

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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