何と登場から27年!プジョー206は今買って乗ってもよい小型車の傑作【第5水曜日の男、遠藤イヅルの令和的ヤングタイマー列伝:第3回】

公開 : 2025.04.30 17:05  更新 : 2025.05.02 10:13

クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルが、令和的なヤングタイマーを語る連載。マニアック体質の筆者らしく、年に数回の『第5水曜日』限定でお送りしています。第3回はプジョー206をピックアップしました。

今なお新鮮、高い完成度を誇るデザイン

こんにちは。クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルです。年に数回だけやってくる第5水曜日に、今見直したいヤングタイマー世代のクルマについて記す当連載。第3回は、『プジョー206』をお送りします。

えっ、プジョー206って最近のクルマだよね? と思いますよね。しかし、プジョー206の登場は1998年。今からなんと27年も前のことなのです。驚き!

引き締まったデザインが魅力的なプジョー206。デザインは自社。長年パートナーを組んでいたピニンファリーナの手を離れたが、完成度はとても高い。
引き締まったデザインが魅力的なプジョー206。デザインは自社。長年パートナーを組んでいたピニンファリーナの手を離れたが、完成度はとても高い。    ステランティス

つまり、この連載の第1回でお送りしたBMW 3シリーズ(E46)、そして第2回のアルファ・ロメオ 155と同じく、「そんなに古いの?」、「気がついたら登場からすっかり時間が経っていた!」と気づかされるクルマなのです。

閑話休題。末尾『6』世代のプジョーは、106、206、306、406がいずれも1990年代に登場しています。その最後を飾った206は、Bセグメントのコンパクトハッチ、205の後継車として生まれました。

プジョー=スポーティという図式

205登場前夜までのプジョーといえば、404、504、505など、地味、寡黙ながら手に馴染む道具のような、堅実な後輪駆動セダンを得意としていました。しかし205は、ピニンファリーナが関与したシンプルかつ美しいデザイン、高性能モデルGTIの存在などフレッシュな印象で登場。現在に至る、『プジョー=スポーティ』という図式を作り上げました。

205に比べると206の車体全体は丸く、雰囲気を大きく変えていました。口のようなバンパーやプジョーのアイデンティティであるつり目を強調したフロントマスクも特徴です。

3ドアのほか5ドア車でも太いCピラーを持ち、205の雰囲気を残しています。短いオーバーハング、コンパクトな車体も相まって引き締まった印象が強く、このあと登場する207や208に比べても、今なおデザインは新鮮で、その輝きは色あせていません。改めて言いますが27年前の登場なんて、信じられないですよね。

ワイドバリエーションと価格で日本でも大ヒット

プジョー206といえば、デザインの良さ、明快なキャラクター、爽快な運転フィーリングなどから、日本でも1999年の導入以降大ヒットを記録しました。

かくいう自分も、2000年に206を新車で購入したことがあるのですが、当時あまりにも206が売れて在庫がなく、展示車を買ったほどです。しかも値引きなし(なんという強気!)。206で街を走っていると、多くの人が振り返るほどの人気だったのです。

206CCも、日本では人気車種。CCはクーペカブリオレの略で、電動開閉式のメタルルーフを備えていた。
206CCも、日本では人気車種。CCはクーペカブリオレの略で、電動開閉式のメタルルーフを備えていた。    ステランティス

手に入れやすい価格も、日本での206人気を支えました。発売開始時、1.4リッターSOHCエンジンを積む廉価モデル『XT』は、3ドア、MT車なら165万円、5ドア、AT車でも175万円というリーズナブルさでした。MT車が好評だった306と同じくMTを設定したこともトピックです。

バリエーションも多く、ハッチバックのほか『SW』と呼ばれるコンパクトなステーションワゴン、メタルルーフを電動格納する『CC』と称するクーペカブリオレも用意されました。

137psをマークする2リッターDOHCエンジンを載せる『S16』や、当時206が活躍していたWRCのイメージを投影した『RC』、WRC参戦用ホモロゲモデルとして限定発売された『GT』など、高性能モデルも抜かりなく販売されていました。シックな色合いの『ローラン・ギャロス』も印象に残ります。

記事に関わった人々

  • 執筆

    遠藤イヅル

    Izuru Endo

    1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター兼ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。実用車や商用車を好み、希少性が高い車種を乗り継ぐ。現在の所有は1987年式日産VWサンタナ、1985年式日産サニーカリフォルニア、2013年式ルノー・ルーテシア。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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