M2 CS:最高水準の速さと落ち着き タイカン・ターボ GT:最高峰のステアリング BBDC 2025(2)

公開 : 2025.12.31 18:05

1年に試乗した中で、運転体験の喜びが最高の1台を選ぶBBDC 公道とサーキットで徹底評価 フェラーリにマクラーレン、ポルシェ、アストン、ランボルギーニまで10台の混合戦 2025年の頂点は?

最高水準の速さと落ち着き:BMW M2 CS

アウディRS3の次にドアを開いたのは、3.0L直列6気筒で後輪駆動のBMW M2。長い歴史を持つ、2ドアのMモデルの最新版だ。CS仕様で、専用サスペンションにミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2が組まれ、ダックテール風スポイラーがリアを飾る。

濡れた路面では、フロントが期待ほどグリップせず、高い集中力が求められた。少し深めに右足を倒すと、突然オーバーステアが始まる。「この路面では、硬い足まわりがステアリングの精度や感触へ影響を与えますね」。イリヤ・バプラートが口にする。

BMW M2 CS(英国仕様)
BMW M2 CS(英国仕様)

ところが路面が乾くと、鋭いコーナリングを堪能できるように一転。「小さなMモデルらしい操縦性のバランスに、最高水準の速さと落ち着きが融合しています。感覚的な充足感も素晴らしい」。マット・ソーンダースが微笑む。

素晴らしいバランスとステアリング:AMG GT 43

同じく後輪駆動のメルセデスAMG GT 43は、銘柄らしくない2.0L 4気筒エンジンを積む穏やかな仕様だが、421psと動力性能に不満なし。ステアリングの感触に優れ、サスペンションはしなやか。流れるような身のこなしで、ワインディングへ興じれる。

素晴らしいバランスとステアリングだと、バプラートは印象を振り返るが、マット・プライヤーは違う。「バランスは良いですが、公道では余り魅力を感じないかも」。ソーンダースがうなずく。「グランドツアラーでも、スポーツカーでもない感じです」

メルセデスAMG GT 43(英国仕様)
メルセデスAMG GT 43(英国仕様)

ポルシェタイカン・ターボ GTの性格も、少々複雑。ニュルブルクリンクを超高速で周回できるバッテリーEVで、バイザッハ・パッケージが組まれ2シーターだが、4ドアサルーンのボディをまとう。車重は2220kgあり、ツインモーターは1109psを繰り出す。

ステアリングは最高峰。豊かなフィードバックがあり、重み付けとレシオも理想的だ。「想像よりずっとイイですね」。とはプライヤー。「速くて安定感は抜群で、本当に楽しい。購買層を想像しにくいですが」。と続ける。

繊細な感触に無限のリニアさ:911 GT3

2025年のBBDCには、ポルシェが2台もノミネートした。992.2世代へアップデートされた911 GT3で、指名したのはウイングのないツーリング。自然吸気の4.0L水平対向6気筒エンジンと6速MTのペアが、乗り手を魅了する。

小さいとは呼べないボディだが、一般道に大きすぎない。運転席からの視界も広い。ステアリングには、超高解像度のフィードバックが伝わる。至高のシャシー能力を、510psのパワーで引き出しつつ、ヒール&トウで没入できる。

ポルシェ911 GT3 ツーリング(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 ツーリング(英国仕様)

「お尻へ伝わる繊細な感触。エンジンの無限なリニアさ。湿った路面でも、アクセルオンで自然にラインを絞れます。もはやアートですよ」。リチャード・レーンが話す。

筆者も同感。だが、完璧とはいえないだろう。アクセルペダルを戻すと、ドライブトレインから粗野な振動が伝わり、出色の一体感へ水を差す。低域での硬い乗り心地や、小さくないロードノイズは、「ツーリング」に相応しくはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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