マセラティMCプーラ・チェロ MC20から継承されたスーパースポーツのDNA 進化と真価を検証

公開 : 2026.01.29 12:05

コルサもいいけれど、真価はGTにあり

せっかくのサーキット試乗なので『コルサモード』を選び、滑りはじめるあたりまでペースを上げてみたのだが、その際の挙動も見事だった。

ハンドリングは弱アンダーでピタッと安定しており、突然フロントタイヤが喰ってスナップするようなことがない。中速コーナーの進入で少しスロットルを戻すとジワッとリアが流れ、ゼロカウンターの領域でほど良いコーナリングが楽しめる。

滑りはじめるあたりまでペースを上げてみたが、その際の挙動も見事だった。
滑りはじめるあたりまでペースを上げてみたが、その際の挙動も見事だった。    佐藤亮太

ドライブトレインが重かったり、限界域のハンドリング特性が曖昧になりがちな屋根開きのミドシップ車では、思った以上にテールが流れることも珍しくない。だが、MCプーラ・チェロの場合は、ダラーラ設計のカーボンモノコックがサーキットレベルの速度域まで完璧にカバーしてくれているのだ。

一方のネットゥーノV6は、コルサモードではウェイストゲートを含めた音が逞しくなる。さらにスロットルも若干早開き気味になるのだが、ターボのツキの悪さは一切ない。過給エンジンでありながら11:1の高圧縮比を実現させたプレチャンバー燃焼の真価が、全回転域におけるスムーズなパワーデリバリーに効いているのである。

今回はサーキット試乗ゆえ熱い走りの話になってしまったのだが、それでもチェロの真価がグランドツーリングにある、という評価は変わらない。現代マセラティが誇る快適なスーパースポーツが、純粋な内燃機関モデルとして延命したことを素直に喜びたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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