『ディフェンダー』はいかにしてダカールを制したか(前編) 市販車クラス初参戦 栄光を掴んだ軌跡
公開 : 2026.01.28 17:05
ダカール・ラリー2026の市販車クラス『ストック』にワークスとして初参戦し、見事に勝利を掴んだランドローバー・ディフェンダー。なぜ出場を決めたのか、またベース車両にはどのような改造が施されたのかを解説します。
ダカール・ラリーの「本質」
ダカール・ラリーのビバーク(参加者が集まるキャンプ地)は、大規模な移動コミュニティだ。荒れ果てたアラビア砂漠に、バンやトラック、テントが雑多に集まって形成される。
キャンプを歩くと、まるで映画『マッドマックス』の世界に足を踏み入れたかのようだ。数千人もの人々が、バイクからバギー、トラックまで、派手で奇妙な車両の群れを世話している。

しかし、今年のダカールではそのキャンプ地の真ん中に、整然として効率的で、非常に英国的な落ち着きを保つ小さなオアシスがあった。ジャガー・ランドローバー(JLR)の『ディフェンダー・ラリー』チームのサービスエリアだ。同チームは今年実戦デビューを果たしたばかりで、今後3年間、世界ラリーレイド選手権(W2RC)へ参戦する方針を固めている。
言うまでもないかもしれないが、ダカール・ラリーはもはやパリをスタート地点とすることも、セネガルの首都近郊を通ることもなくなった。今や完全にサウジアラビア国内で開催されている。
この開催地に対する道義的な異論はあるだろう(湾岸国家が国際的イメージ向上を狙って主催する他の多くのスポーツ・文化イベントと同様に)。しかし、ラリーレイドの開催地として適していることは否定できない。広大な砂漠地帯は、15日間で約8000kmを走るレースにさまざまな色合いと表情をもたらしてくれる。
今年の大会は紅海沿岸の港湾都市ヤンブー近郊でスタート&フィニッシュし、途中で首都リヤドの近郊を通過した。ダカール・ラリーは熾烈を極めるトップ争いが注目を集めるが、600台以上の出場車両(自動車、バイク、バギー、トラック、急増中のクラシックカーの各部門に分かれる)の大半にとって、本質は「冒険」にある。
ワークス初参戦を決めた経緯
その意味で、ダカール・ラリーはランドローバーのモデルラインから高級ブランドとして独立し、過酷な冒険に特化した『ディフェンダー』と相性が良いイベントであると言えるだろう。
ディフェンダー担当マネージング・ディレクターのマーク・キャメロン氏は、「ディフェンダーを立ち上げた時、わたしが最初に提案したことの1つは『ランドローバー史上初めて、ワークスチームとしてダカールに参戦したらクールではないか?』というものでした」。

確かに、過去には多くのランドローバー車がダカール・ラリーに参戦してきたが、今大会に挑んだ3台の『ディフェンダーD7X-R』は初の完全なワークス運営マシンだった。
JLRはダカール・ラリーへの3年間の参戦を表明し、またイベント公式パートナーとしても名乗りを上げている。しかし、どれほど熱心に取り組んでも、総合優勝は期待できない。専用設計のスペースフレーム車両が支配する『T1+』クラスではトヨタ、フォード、ダチアが総合優勝を争っているが、JLRは市販車ベースの『ストック』クラスに注力しているからだ。
画像 初参戦で優勝! 市販車クラス『ストック』を制したラリーカー【ディフェンダー・ダカールD7X-Rとチームを詳しく見る】 全29枚































