マセラティMCプーラ・チェロ MC20から継承されたスーパースポーツのDNA 進化と真価を検証

公開 : 2026.01.29 12:05

昨年7月にグッドウッドでお披露目された『マセラティMCプーラ』が日本上陸。そのオープンエアモデルである『MCプーラ・チェロ』に袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗することができました。吉田拓生のレポートです。

エッジが効き、より精悍な表情に

昨年7月にグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでお披露目された『マセラティMCプーラ』が日本上陸を果たし、そのオープンエアモデルである『MCプーラ・チェロ』に袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗することができた。

イタリア語で『純粋』を表す『プーラ』は、2020年にデビューしたスーパースポーツモデル、『マセラティMC20』のマイナーチェンジ版。基本的なスタイリングはMC20のそれを踏襲しているが、よく見ると数々のリファインを発見できる。

昨年7月デビューした『マセラティMCプーラ』が日本上陸。こちらはそのオープンエアモデル『チェロ』。
昨年7月デビューした『マセラティMCプーラ』が日本上陸。こちらはそのオープンエアモデル『チェロ』。    佐藤亮太

最大の違いはフロントエンドの処理で、カラードのパネルがグリルの下方まで伸び、葉巻型フォーミュラのノーズ風だったMC20に対し、プーラではグリルの下半分がスパッとブラックアウトされ精悍な表情に変わっている。その形状はシリーズのスペシャルモデルである『GT2ストラダーレ』に近いものになっているのである。

MC20を描き出し、MCプーラへの改変でも腕を振るったマセラティのチーフデザイナー、クラウス・ブッセ。現代のマセラティの顔ともいうべき長身の彼は、「ボディの上側はマセラティらしいラグジュアリーな雰囲気を、ブラックアウトされた下半分はパフォーマンスを狙った形状で纏めた」と述べている。

若干クラシカルな要素を含み、レーシングの歴史を汲んでいたMC20から、より現代的なエアロダイナミクスを意識したモダンなスタイリングのMCプーラへ、『MC=マセラティ・コルセ』の最新版は正常進化を遂げていたのである。

改変というより継続、エレガントなDNA

マイナーチェンジといえば改変された箇所も気になるが、プレスリリースに機構部分の記述はなかった。生産台数が多くないスーパースポーツの常でことあるごとに改良されているはずだが、その逐一についてアナウンスがないのは『イタリア人らしい部分』という気がする。

バタフライドアを開け、『AIアクアレインボー』のMCプーラに乗り込むと、以前はレザーで覆われていたダッシュまわりがアルカンターラに変わっていた。これも今回のマイナーチェンジで変更された部分である。

MCプーラに、吉田拓生が袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗。
MCプーラに、吉田拓生が袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗。    佐藤亮太

スターターボタンを押して630psの『ネットゥーノ』V6を目覚めさせコースイン。最初に感じたのは、硬質なカーボンモノコックと相まってアシがよく動き、その様子が手に取るようにわかることだった。

標準の『GTモード』でペースを上げていくと、わりとすぐロールやピッチの収まりが悪くなってきたので『スポーツモード』に切り替える。するとスタビリティが増し、変速が素早くなり、快適なハイスピードドライビングが楽しめるようになった。

以前、同じ袖ケ浦でMC20チェロをドライブしたときよりも、ステアリングの中立付近が引き締まり、フロントからのフィードバックが増えているように感じられた。その結果として、特に緊張することなくペースを上げてドライビングが楽しめる。

卓越したスペックを目にすると構えてしまいがちだが、MCプーラになってもマセラティらしくエレガントでユーザーフレンドリーなキャラクターは不変なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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