ベースのオクタとどう違う? 『ディフェンダー』はいかにしてダカールを制したか(後編) D7X-Rはモンスター
公開 : 2026.01.28 17:10
ダカール・ラリー2026の市販車クラス『ストック』にワークスとして初参戦し、見事に勝利を掴んだランドローバー・ディフェンダー。なぜ出場を決めたのか、またベース車両にはどのような改造が施されたのかを解説します。
オフロードに特化した足回り
では、市販車との違いはどこにあるのだろうか?
まずはサスペンションだ。ベース車両の要素を引き継ぎつつ、岩場などの過酷な地形に対応するため強化され、特に後輪にはビルシュタイン製のツインダンパーが装備されている。頑丈な35インチオフロードタイヤを装着し、トレッドも拡大された。D7X-Rのフロントトレッドは1832mmで、オクタより60mm広い(オクタは標準のデファイダー110より68mm広い)。サスペンションとサブフレームの取り付け位置は標準通りだが、補強用の外骨格が追加されている。

駆動系では、四輪駆動システムを制御するトランスファーケースを引き続き使用している。公道仕様のディフェンダーは基本的に後輪駆動だが、スリップクラッチにより前軸への動力伝達が可能だ。前後デフは市販車用のケーシングをそのまま使用しなければならないが、内部機構の変更は認められる。特に注目すべきは、後輪の電子制御デフを廃止し、前後に機械式リミテッドスリップデフを採用した点だ。
「電子制御ディファレンシャルは性能の幅広さを重視したものです」とランバート氏は言う。「オンロードでもオフロードでも驚異的な性能を発揮します。ですが、ラリーで求められるのはオフロードで安定した性能を発揮することだけです」。
宙に浮いた時のトルク制御も
駆動系の制御ソフトウェアも専用設計だ。
「公道では常に前後のバランスを取り、驚異的なオンロード走行性とオフロード性能を実現しています。それは、ラリーチームには必要ありません。四輪駆動でコーナーを滑るように走れる性能が必要なのです。そのため、トランスファーケース内のクラッチパックに圧力を加え、巻き上げてフロントアクスルトルクを制限するだけです」

もう1つソフトウェアで追加された機能が「フライトモード」だ。これは空中に浮いた際に自動的に車輪へのトルクを調整し、スムーズに着地することでドライブトレインを保護するというものだ。
フロントエンドは冷却性能向上のために再設計された。ラジエーターは1基から3基に増設され、4基のファンで熱気をより速く排出する。内装もフルロールケージをはじめ大幅な改造が施されている。
大柄なボディだが、後部スペースは狭い。ダカールの規定で要求される550Lという巨大な燃料タンクがトランクと後部座席のスペースを占めるためだ。さらに3本のスペアタイヤと、圧縮空気や油圧ジャッキを含む工具キットも詰め込まれている。
画像 初参戦で優勝! 市販車クラス『ストック』を制したラリーカー【ディフェンダー・ダカールD7X-Rとチームを詳しく見る】 全30枚
































