アウディ新デザイナー独占インタビュー(後編) 「らしさ」を作る難しさ 過去の功績とどう向き合う?

公開 : 2026.03.04 17:25

デザイナーお気に入りのクルマは?

フラセラ氏にお気に入りのアウディ車を尋ねてみた。

A6(1997年)

2代目となるC5型A6は「絶対的な傑作」であり、アウディのデザイン言語を根本から変える先駆けとなった。フラセラ氏が「若きデザイナーで、非常に影響を受けやすかった時期」に登場した。

TT(1998年)

アウディA6(2代目)
アウディA6(2代目)

フラセラ氏が「本当に、心から、深く愛している」1台だ。「このクルマは、わたしの中で何かに火をつけました。ずっと繋がりを感じてきたんです」

ステッペンウルフ(2000年)

「TTのオフロードコンセプト」として不当に過小評価されたこのクルマは、フォルクスワーゲン・ゴルフR32のV6エンジンを搭載し、11年後に登場するQ3の原型となった。「初めて見た時、そのスケール感に衝撃を受けました。本当に小さいんです!」

RS Q8(2025年)

フラセラ氏が日常使いしているという640psのRS Q8は、控えめさやミニマリズムとは正反対だ。だが彼はこう言う。「このレベルの性能を持つクルマは、その性能を表現する必要があります」

F1マシンのカラーリングも

ブランドを形作るコンセプトカーを構想しつつ、新たなデザイン言語を同時に構築するのは困難な事業だ。

しかし、フラセラ氏にはもう1つ、大きな課題があった。アウディ初のF1マシンにおけるデザインを定義することだ。

アウディのF1マシン『R26』
アウディのF1マシン『R26』

AUTOCARの単独インタビューで、フラセラ氏はこの課題が「エキサイティングな挑戦をさらにエキサイティングなものにした」と語った。

彼の率いるデザインチームが最優先したのは、ピットレーンからの俯瞰ショットでデザインが際立つようにすることだった。その結果生まれたのは、大胆でありながらミニマルな処理だ。主軸とするシグネチャーカラー「ラヴァ・レッド」は、「アウディのレッドをとても鮮やかに表現した色であり、F1における高揚感を新たな次元へ引き上げる」とされる。

アウトウニオンに着想を得たチタンカラーは、アウディのモータースポーツの伝統へのオマージュであり、黒の部分は、デザイナーとエンジニアの間の妥協の結果だという。

「当初、重量を考慮して、車体に露出させるカーボンファイバーの量について議論がありました。技術的な観点から言えば『クルマは黒になるだろう?』という感じでしたが、それは実現できませんでした。アウディとして認識される必要があるからです。ただ、黒は維持しました。ある意味、カーボンファイバーを露出させると同時に、アウディのメインカラーとしての位置付けも兼ねています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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