新型 アウディRS5 アバント(1) リアデフ内蔵モーター効果でこの暴れっぷり! 「オーバーステア傾向にしたかった」

公開 : 2026.03.04 18:05

最新RS5 アバントは2370kgで639psのプラグインHV 筋肉質なフェンダーに大胆なバンパー カギを握るリアデフ内蔵のモーター 驚くほどの快適性 他に例がない敏捷性 UK編集部が試乗

車重2370kgで総合639psのプラグインHV

アウディが新型RS5 アバントのスペックを公表した直後に、メディア向けの試乗会が開かれた。プラグイン・ハイブリッド化に伴い、リフトバックで2355kg、ステーションワゴンで2370kgという、車重に対する懸念を払拭する狙いがあったのだろう。

RS4の後継モデルで、新型A5の超高性能仕様。アウディのような自動車メーカーにとって、他を圧倒する能力を与えるうえで、プラグイン・ハイブリッドは残された手段の貴重な1つになっている。新しいBMW M5も、採用している。

アウディRS5 アバント・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
アウディRS5 アバント・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

ドイツ本国では、電気だけで80km以上走れるモデルの税金が優遇されている。カタログ上のCO2排出量は、少ない方が維持費を削減できる国は他にも多い。RS e-トロンGTの売れ行きは好調とはいいにくい。果たして、新しいRS5は導かれた。

フロントに載るのは、510psと61.1kg-mを発揮する2.9L V6ツインターボ。8速ATには、176psと46.7kg-mを発揮する駆動用モーターが組み込まれ、総合で639psと83.9kg-mを得ている。荷室の床下には、グロス値で22.0kWhのバッテリーが載る。

操縦性のカギを握るリアデフ内蔵のモーター

アウディの技術者、ステフェン・バンバーガー氏は、かつてないほど敏捷でリア寄りの駆動バランスを目指したと話す。「オーバーステア傾向のクルマにしたかったのです」。と。トルセン式センターデフを介する、四輪駆動のクワトロは維持しつつ。

盛大なタイヤスモークに包まれた写真を既にご覧かと思うが、この暴れっぷりは、最大85%のトルクをリアへ伝達するセンターデフの効果が大きい。そして、ギアを介して203.5kg-mものトルク差を生み出す、リアデフへ仕込まれたモーターもカギを握る。

アウディRS5 アバント・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
アウディRS5 アバント・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

これまで、リミテッドスリップ・デフにクラッチを実装した例は多くあった。しかしRS5は、アクセルペダルの入力へ依存せず、独立したモーターが生み出すトルクを左右のリアタイヤへ加えられる。電気仕掛けだから、制御は高精度で自在だ。

馬力的には5psとのこと。しかし回転数を落とし、巨大なトルクが引き出されている。

量産車最大のアダプティブダンパー

前後の重量配分が49:51だとしても、車重が2.4t近くあるとなれば、後輪操舵システムの実装も有効だろう。そのかわり、このモーターは内側のリアタイヤの回転を抑制し、外側の回転を過剰にすることで、オーバーステア傾向を生み出す。

負荷が増しテールスライドが始まったら、回転バランスを調整し、アングルの維持も可能。グリップさせたままのコーナリングでは、その効果は一層顕著になる。

アウディRS5 アバント・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
アウディRS5 アバント・パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

ホイールは標準で20インチだが、オプションのパフォーマンス・パッケージでは21インチ。タイヤは前後とも285/30ながら、ホイールは前が10.0J、後ろが10.5Jと幅が異なり、リアのサイドウォール剛性を高めてタイトな操縦性を引き出している。

サスペンションは、コイルスプリングと4段階に調整可能なツインバルブ・アダプティブダンパーがペアを組み、フラットな姿勢制御を実現。量産車向けとしては、最大のアイテムだとか。ステアリングのロックトゥロックは、約2回転とクイックだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

新型 アウディRS5 アバントの前後関係

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