初代『TT』のエッセンスを未来へ アウディ新デザイナー独占インタビュー(前編) 清涼感あるシンプルなカタチに

公開 : 2026.03.04 17:05

アウディのデザイン責任者に就任したマッシモ・フラセラ氏が、AUTOCARの独占インタビューに応じました。初代『TT』に強い影響を受け、豊富なキャリアを築いてきた彼は新時代をどう形作っていくのでしょうか。

伝説的な初代TTに憧れて

1998年、デザイナー志望のマッシモ・フラセラ氏は仕事を休んでトリノのアウディ販売店に駆けつけ、発売したばかりの『TT』を熱心に眺めていた。この時、まさか自分がこのスポーツクーペの再構築に携わることになるとは、夢にも思っていなかった。

ペーター・シュライヤー氏の手掛ける初代TTがベールを脱いだ瞬間、その型破りで魅惑的なデザインはフラセラ氏を釘付けにした。

UK編集部はマッシモ・フラセラ氏へ独占インタビューを行った
UK編集部はマッシモ・フラセラ氏へ独占インタビューを行った

実際、アウディ史上最も重要なモデルの1つであるTTとの出会いがフラセラ氏に深い感銘を与え、彼の27年に及ぶ旅路の礎となった。そして、その長い道のりの果てに、彼はインゴルシュタットのデザイン部門の指揮を執ることになったのだ。それは、彼の作品を知る人なら誰もが予見していたことだった。

彼はこう語る。「キャリアを通じて一貫していたのは、人々がわたしの仕事にアウディとの関連性を感じ取り、『ああ、君はアウディで働くべきだ。いつか必ずアウディで働くことになる』とよく言われたことです。その通りになりましたね」

他と一線を画すデザイン

トリノ応用美術デザイン学院を卒業したフラセラ氏は、ベルトーネに就職した後、フォードに移り米国市場向けのリンカーンとマーキュリーに携わった。その後6年間、カリフォルニアにあるキアのデザイン部門に在籍し、ソレント、スポーテージ、リオ、ソウルのエクステリアデザインを指揮した。

2011年にはジャガーランドローバーに入社し、両ブランドのデザイン責任者まで昇進。特に新型ディフェンダーの導入に携わったことで有名だ。

フラセラ氏の人生を変えた初代TT
フラセラ氏の人生を変えた初代TT

その後アウディに招かれることは、TTとの最初の出会いの時から決まっていた運命とも言える。彼のマニュフェストでもある『コンセプトC』は、紛れもなくTTの影響を強く受けている。

実際、フラセラ氏はTTのシンプルで直線的なシルエットと明快なスタイリングを惹きつけられたと話す。しかし、TTはあくまでも当時のモデルラインナップにおける「ヘイロー(後光、光輪)」に過ぎなかったという。

「クルマは当時の自動車デザイン全体の文脈で見る必要があります」と彼は述べ、同時代のB4型『A4』とC5型『A6』を特筆すべき存在として挙げた。

「わたし達は往々にして、クルマが世に出た当時の状況や、そのクルマが何を象徴していたかを忘れがちです。そしてアウディのクルマは、道路上を走る他の何物にも似ていませんでした」

フラセラ氏によれば、「ほとんど何もないものでできている」からこそ、何物にも似ていなかったのだという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

アウディ新デザイナー独占インタビューの前後関係

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